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[MOM758]阪南大FW永井絢大(4年)_下級生のころは“FW失格”の烙印も…今ではエースナンバー13

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.8 インカレ1回戦 阪南大2-1中京大 前橋総合運動公園群馬電工陸上競技・サッカー場]

 思い通りに試合を運べない中でも、阪南大が中京大に2-1で勝利出来たのはFW河田篤秀(現・J2大宮)も背負ったエースナンバー13を背負うFW永井絢大(4年=九国大附属高)の存在が大きかったと須佐徹太郎副顧問(前監督)は話した。

 本職はFWだが、この日はスピードが売りのMF奥山洋平(4年=西大寺高)がベンチスタートになった事もあり、スタートは右サイドMFとしてプレー。50mを6秒代前半で走るスピードを活かした突破を試みたが、「相手が思っていた以上に強かった。自分たちも初戦だったため、固くなっていた部分がチームとしてあった」ため、上手く行かない場面の方が多かった。そのため、途中からは「前半は耐える時間だなと思って、守備に全力を注いだ」。

 チームが上手く行かなかった要因の一つが、セカンドボールの回収率の高さにある。4-4-2のダブルボランチだった阪南大に対し、中京大は4-1-4-1だったため、中央の人数は2対3の数的不利。相手の後手を踏むとリスクを背負ってしまう。25分に失点したものの、守備時には永井が中に絞り、相手を見る事で時間の経過と共に守備の改善が進んだ。

 後半に入り、FW福羅光希(4年=阪南大高)に代わって、MF奥山洋平(4年=西大寺高)が投入された事で永井のポジションは前線に移動。「前半はボールが収まらなくて厳しいなと思っていたので、後半に自分が前線に入ってからは、収めることを意識してチームに勢いをつけたいと思っていた」。永井が前線で上手くボールを収めることが出来れば、速さとクロスが売りである右サイドの奥山も力を発揮しやすい。後半40分に生まれた決勝ゴールは、そうした互いの良さが噛み合った場面で後方からのパスを受けた永井が、奥山の位置を確認し、上手くフリック。自らの下にボールが来た奥山がゴール前にクルスを上げて、最後は反対サイドのMF池田修志(4年=神戸U-18)がヘディングシュートを決めた。

 得点シーンは、チームとして練習してきた3人目の動きが活きた場面。守備での貢献も大きかったため、須佐副顧問はこの日のMOMとして永井の名を挙げたが、本人は「今日の出来は60点か70点。守備で貢献できても、自分は攻撃の選手なので自分が点を獲って勝ちたい」と口にした。

 今でこそ力強いプレーが出来るようになったが、高校時代は「裏に抜ける事しか考えていなかった」。ボールを収める力強さは足りず、孤立して何も出来なくなる試合も多かったという。だが、「高3の時に関西選手権で優勝したのを見て、関西でトップレベルの所に行ってみたいと思ったから選んだ」阪南大では、プレーの幅が広がった。

 入学1年目のリーグ中盤で、Aチームデビューを果たしたが、1試合での出場に終わり、「レベルの差を感じて落ち込んでしまった」。スタッフから「攻撃の選手ではない」と言われて、CBにコンバートされた時期もあったという。2年目はIリーグでのプレーが続いたが、「自分の中ではやっぱり攻撃がしたかった。阪南の攻撃は全国でもたぶんレベルが高い方だと思う。そこについていけるというか入っていけるようなレベルになろうと努力しました」。

 3年目からはAチームでコンスタントな出場機会を掴み、今年は欠かせない戦力になっている。チームの勝利と共に目指すのはプロ入りだが、現時点ではオファーが届いていない。目標を達成するためには、数字として結果を残さなければいけないと理解している。就活の場として挑む今大会は日本一と得点王になるのが目標だ。

(取材・文 森田将義)
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