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仙台大がインカレ優勝候補・明治大を撃破! 延長120分の死闘はPK戦目前のラストワンプレーで決着

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仙台大が優勝候補・明治大を撃破

[12.11 インカレ2回戦 明治大1-2(延長) 仙台大 味の素フィールド西が丘]

 第71回全日本大学サッカー選手権(インカレ)は11日に2回戦を行った。明治大(関東1)と仙台大(東北1)の対戦は延長戦の末、仙台大が2-1で勝利した。18日の3回戦では国士舘大(関東6)と対戦する。

 シード校として2回戦から登場した明大は、3-4-3の布陣を敷く。GKは遠藤雅己(4年=桐蔭学園高/横浜FC内定)、3バックは左からDF岡哲平(3年=FC東京U-18)、DF井上樹(3年=甲府U-18)、DF丸山海大(3年=東福岡高)が並ぶ。ボランチ2枚はMF松原亘紀(4年=大津高)とMF田中克幸(3年=帝京長岡高)で、左WBはDF林幸多郎(4年=鳥栖U-18/横浜FC内定)、右WBはDF福田心之助(4年=札幌U-18/京都内定)。前線3枚は左からFW中村草太(2年=前橋育英高)、FW太田龍之介(3年=岡山U-18)、FW正田徳大(4年=柏U-18)を置いた。U-21日本代表FW佐藤恵允(3年=実践学園高)、U-19日本代表MF熊取谷一星(2年=浜松開誠館高)は負傷から回復が間に合わず、メンバー外となった。

 仙台大は「(初戦の明大に対して)フレッシュなメンバーを当てようとプランを立てた」(西洋祐監督)と、1回戦・九州産業大戦(○4-1)から先発5人を入れ替え、3-4-3から4-2-3-1の布陣に変更した。GKは山本伊織(3年=JFAアカデミー)、4バックは左からDF石尾陸登(3年=JFAアカデミー)、DF相馬丞(3年=山形ユース)、DF和田昂士(3年=横浜FMユース)、DF宮嶋俊弥(4年=三菱養和SCユース)。ボランチ2枚はMF根岸恵汰(2年=浦和ユース)とMF玉城大志(3年=浦和ユース)を起用。2列目は左からFW得能草生(3年=青森山田高)、MF冨久田和真(4年=三菱養和SCユース)、MF松本岳士(3年=尚志高)で、1トップはFW佐々木翔(3年=横浜FCユース)が入った。

 大学トップレベルの関東大学1部リーグを制した明大と、東北大学1部リーグで無敗優勝を果たした仙台大の対戦。序盤は明大がボールを握る展開が続く。積極的に攻めた結果のCKを何度も得るが、得点には結びつかない。

 前半25分を過ぎると、徐々に仙台大が前線でボールを持てるようになる。すると同31分、セットプレーから先制に成功。冨久田が左サイドからFKを蹴り込むと、ファーサイドの和田が頭で折り返す。混戦でボールに触れたのは佐々木。「自分の前にこぼれてきて、何も考えず振ったら入りました」(佐々木)。1回戦に続き、2試合連続となる先制ゴールを挙げた。

 先制から一転して仙台大のペースに。冨久田を中心に巧みなボール捌きで相手のファウルを誘発。FKから何度もチャンスを作った。しかし前半に追加点は生まれず、仙台大が1-0のリードで折り返した。

 仙台大はハーフタイムに松本を下げ、DF山内琳太郎(2年=京都橘高)を入れて初戦と同じ3-4-3に布陣を戻す。「明治さんは力があるチームなので、ひとつふたつのプランだけじゃ無理だと思った。こっちから先手を打って、(ピッチに)いる選手の特徴を生かしていこうと思った」(西監督)。

 その一方で、明大は田中を下げ、MF島野怜(1年=仙台育英高)を投入。相手の布陣変更には「逆に3バックでやりやすくなった。3バックを想定して練習していたので、これはハマるなと」(栗田大輔監督)。その言葉の通り、明大は後半開始から勢いを取り戻していく。

 仙台大は後半9分に2枚替え。先制点を挙げた佐々木と根岸に代え、FW波田祥太(3年=浦和ユース)とMF本田真斗(1年=青森山田高)が入る。だが、明大はさらに攻勢を強めて同点に追いつく。同13分、正田が右サイドから低めのクロスを上げると、太田がダイレクトで合わせ、ゴールに叩き込んだ。

 試合は振り出しに戻り、拮抗状態へ。90分で決着はつかず、延長戦に突入した。仙台大は足を攣る選手も出る一方、明大の勢いは落ちない。延長前後半でもシュート7本を放ち、相手ゴールを脅かした。しかしそれでも得点は決まらない。

 延長後半アディショナルタイム5分も過ぎ、PK戦が頭の片隅をよぎり始める。それでも、仙台大は最後まであきらめない。得能が持ち味の強引なドリブルでPA右に入り込み、CKのチャンスを得た。キッカーは直前に足を攣っていた冨久田。最後の力を振り絞ったボールをファーサイドの山内が頭で折り返し、波田が跳ね返ったボールをヘディングシュート。ゴールネットを揺らし、勝ち越しゴールとなった。

 得点直後、主審が試合終了のホイッスルを吹く。仙台大がラストワンプレーの決勝ゴールで2-1の勝利。明大の選手たちは劇的なシーズンの幕切れに泣き崩れた。

 仙台の選手たちは試合後、笑みをこぼす。先制点を奪った佐々木は「自分も関東のチームに行きたくても行けなくて地方の大学に行った。そういうチームに勝って、地方でも成長できるっていうのを見せたかった」と胸を張る。フル出場で何度もドリブル突破を見せた得能は「明治は強いですね。めっちゃ強いですよ。一枚抜いても湧いてくる」と相手を称賛。次戦に向けて「もちろん優勝を目指しています。だけど一試合一試合楽しんで、4年生とやりたい。みんな4年生が大好きなので」と目を細めた。

 仙台大の西監督は、選手たちの活躍を称える。「苦しい時間帯もあって、ある程度カードを切ってシステム変更もして、やれることはやった。最後は選手を信じて、そしたら点を取ってくれたので、すばらしい選手たちです」。チーム一丸で掴んだ勝利の喜びを噛みしめていた。

(取材・文 石川祐介)
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