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父は33年間記録を保持した怪物ランナー、兄はJリーガー…仙台大DF和田昂士「兄貴とプロで戦いたい」

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マッチアップした仙台大DF和田昂士(左)と国士舘大FW棚橋尭士

[12.17 インカレ3回戦 国士舘大3-0仙台大 AGFフィールド]

 2回戦で関東王者の明治大を破る波乱を演じた仙台大(東北1)だったが、国士舘大(関東6)に0-3で完敗した。

 DF和田昂士(3年=横浜FMユース)にとっては、ユース時代の1学年先輩のFW棚橋尭士(4年=横浜FMユース)とのマッチアップにもなっていた。

 しかし前半26分に先制点を決められた場面は、和田が振り切られた形になった。「何でも出来るからシュートを打たせたくないと思っていたけど、自分が足を出しても届かなかった。まだまだ差があるなと思います」。そこでも完敗を認めるしかなかった。

 二人兄弟で4歳年上の兄は、いわてグルージャ盛岡に所属するFW和田昌士。横浜F・マリノスの下部組織時代から世代を代表する選手で、昂士もずっと目標にしてきた存在だった。「自分がプロを目指す理由として、兄貴とプロで戦いたいというのがあります」。ストイックな面など、見習うことも多いという。

 そんな2人には、日本陸上史に名を残す血が流れている。父親の名前は和田仁志さん。中学生の陸上競技、特に中長距離に関心のある方ならピンとくる名前なのではないだろうか。

 長野県出身で駒ヶ根市立赤穂中時代に、800mと1500mで中学の日本記録を更新。1983年に残された記録は、800mは33年、1500mは29年も破られない伝説のタイムだった。高校に進学してからも1年生で1500mを優勝するなど、怪物ランナーとして知られた。

 父親からは小さい頃に走り方を教わった記憶があるという。しかし兄弟が選んだ競技はサッカーだった。「僕も兄貴がサッカーをやっていたからずっとサッカーをやってきました」。ただし長距離を走らせれば速いそうで、「体力もあるので、それは遺伝だと思います」と感謝を語る。

 環境を変えたいと思い、自らの意思でやってきた仙台での大学生活はあと1年残っている。「プロになる自信はあるし、なれると思って毎日取り組んでいます」。この日のスタンドには仁志さんの姿があった。明治大戦には昌士も応援に来てくれていたという。「プロでも通用する特長を作っていかないと」。兄を大きく上回る187cmの長身を武器としたプレーに磨けることで、必ず夢を叶える。

(取材・文 児玉幸洋)
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