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明治大がインカレ8強「うちのサッカーを徹底的にやり切ろう」前半だけで衝撃5ゴール!! 関西学院大は3発猛追も及ばず

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FW太田龍之介(4年=岡山U-18/岡山内定)がハットトリック

[12.10 インカレ2回戦 明治大 5-3 関西学院大 保土ヶ谷]

 第72回全日本大学サッカー選手権(インカレ)は10日、首都圏各地で2回戦を行い、神奈川県立保土ケ谷公園サッカー場の第2試合は明治大(関東3)が関西学院大(関西3)を5-3で下した。13日の3回戦では、ブリオベッカ浦安競技場で仙台大(東北1)と対戦する。

 互いに直近10年以内の優勝実績を持つ名門同士の対決は衝撃的なゴールラッシュで幕を開けた。前半1分、前線から猛烈なハイプレッシャーをかけた明治大はDF阿部稜汰(4年=日章学園高)が左サイドを攻め込むと、ドリブルで切れ込んだMF熊取谷一星(3年=浜松開誠館高)が倒されてPKを獲得。これをFW太田龍之介(4年=岡山U-18/岡山内定)が左に決め、早々に先制点を奪った。

 なおも押し込む明治大は前半12分、GK藤井陽登(2年=矢板中央高)が左に流れた太田にロングフィードを通すと、FW中村草太(3年=前橋育英高)のパスを受けた熊取谷が鋭いクロスを配球。大外に飛び込んだDF内田陽介(3年=青森山田高)がヘディングで突き刺す。さらに同13分、MF常盤亨太(3年=FC東京U-18)のパスカットから中村がつなぐと、スルーパスに熊取谷が抜け出し、再びPKを獲得。太田がまたも左に決め、早くも3-0とした。

 その後はいったん攻勢がストップしたが、前半34分、内田のパスカットから右サイドを攻め上がり、中村がパスを送ると、これを受けた熊取谷がエリア内からニアポスト脇を打ち抜き、追加点を奪取。同38分にはまたも常盤のパスカットからショートカウンターを仕掛け、スルーパスに反応した太田が独走からGKとの1対1を制し、5-0となった。太田はハットトリックの大活躍となった。

 だが、ここからようやく関西学院大の反撃がスタート。前半アディショナルタイム2分、右サイドでボールを受けたDF山本楓大(1年=鳥栖U-18)が強引なドリブル突破でカットインし、左サイドに渡すと、DF村上景司(3年=G大阪ユース)が低い位置からクロスボールを送り込む。これに反応したのがFW望月想空(4年=関西学院高/FC大阪内定)。DF岡哲平(4年=FC東京U-18/FC東京内定)をかわして左に持ち出し、冷静に左足シュートを沈めた。

 後半は関西学院大がFW渡邉颯太(4年=草津東高)とMF高木大輝(4年=京都橘高)を入れ、さらに勢いを強めた。すると後半16分、左サイドを駆け上がった村上が相手に倒され、良い位置でFKを獲得。これを高木がゴール前に送り込み、ニアサイドで合わせた望月がうまく流し込んで3点差とした。

 関西学院大は後半18分、右太もも裏の負傷でベンチスタートだったDF濃野公人(4年=大津高/鹿島内定)を右サイドハーフで起用。するとさらにボールを動かせるようになり、同30分過ぎからMF倍井謙(4年=名古屋U-18/名古屋内定)の積極的なミドル、濃野のヘッド、FW塩崎彰(4年=愛媛U-18)のボレーで次々と決定機を作った。

 そうして迎えた後半45分、関西学院大は終始ゲームメークを担っていたMF長尾優斗(4年=G大阪ユース/水戸内定)が左サイドに開き、ハイクロスを送り込むと、ファーサイドで濃野が頭で折り返し、ゴール前に飛び込んだ倍井がゴール。プロ内定トリオによる質の高い攻撃でついに2点差とした。

 だが、反撃はここまで。後半アディショナルタイム1分、倍井のミドルシュートが藤井のスーパーセーブに阻まれると、直後に倍井が倒されて得たFKは高木のキックが壁に阻まれ、そのままタイムアップを迎えた。前半の5ゴールで大きく優位に立った明治大が8強への切符を掴んだ。

 試合後、栗田大輔監督は「前半はプラン通りだし、明治の凄さを見せられた」と賞賛。「4年生は練習を4年間やってきていて、やってきたことしか試合に出ない。相手を全くリスペクトせず、相手のサッカーがどうこうじゃなく、うちのサッカーを徹底的にやり切ろうというプランだった。それがハマったと思う」と5点を奪った序盤の内容に手応えを語った。

 その一方、指揮官は「前半最後の失点がいらなかった」と指摘。苦戦した時間帯には「関西学院さんはものすごい強敵だし、素晴らしいチーム。技術も高いのでそんなに簡単にはいかない。先制パンチを入れたのは出来過ぎだった。そこは想定内」としながらも、「前半の44分までは100点ゲームだったけど、後半は0点だった」と総括した。

 とはいえ、大会初戦には苦戦はつきもの。指揮官が「トーナメントなので勝ててよかった」と率直に振り返ったように、短期決戦では戦いを続けながら成長していくことが重要だ。

 3回戦の相手は前回大会で延長戦の末に敗れた仙台大。だが、栗田監督は「そういう意味では勝たなきゃいけないけど、内容では負けたとは思っていない。筑波よりは強くないと思う」と日頃からハイレベルな関東大学リーグで戦う自負をのぞかせる。「関東リーグでやっていることをしっかり出して、よく分析して、しっかり良いコンディションを作って次節に臨みたい。仙台大も洗練されているチームなので、チーム一丸となってやっていかないと勝てない。キチッと修正して勝ちたい」。因縁を意識することなく、まずはこの日と同様に“明治らしさ”を体現していく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
●第72回全日本大学選手権(インカレ)特集

竹内達也
Text by 竹内達也

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