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[MOM928]明治大MF熊取谷一星(3年)_インカレ強豪対決で実質1G3A!! 春にはU-20W杯落選も経験「もがきながらやってきた」1年の成果

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MF熊取谷一星(3年=浜松開誠館高)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.10 インカレ2回戦 明治大 5-3 関西学院大 保土ヶ谷]

 1ゴール、1アシスト、2つのPK獲得。衝撃的なゴールラッシュで初戦突破を果たした明治大の中で、MF熊取谷一星(3年=浜松開誠館高)の貢献度は絶大だった。「今年は苦しい思いをすることが多く、いろんなことを考えた中で今日に至っている」。なかなか結果が出ずに苦しんだシーズンだったが、チームへの思いを胸に鬱憤を晴らすハイパフォーマンスを発揮した。

 夏の総理大臣杯で準優勝を果たした関西学院大との東西強豪対決。3-5-2のトップ下で先発出場した熊取谷は開始早々から輝きを放った。前半1分、左サイドでパスを受けて仕掛けると、爆発的なスピードで相手を抜き去ってPKを獲得。これをFW太田龍之介(4年=岡山U-18/岡山内定)が決め、先制点が入った。

 さらに前半12分には、左サイドの内寄りでボールを受けると「ふわっというよりは速いボール」で右サイドにクロスを配球。「練習から見といてくれとウッチーから言われていたし、栗田さん(栗田大輔監督)からも奥を見ろと言われていた。決めてくれというボールを蹴った」。これをDF内田陽介(3年=青森山田高)がヘディングで突き刺し、アシストがついた。

 また直後の前半13分には、再び相手に倒されてPKを獲得し、これを太田が決めてチームの3点目に貢献。そうして前半34分、FW中村草太(3年=前橋育英高)からの斜めのパスを中央で受けると、ペナルティエリア右を切り裂き、「もう打ち切って気持ちで決めてやろうと思っていた」という強烈な右足シュートを突き刺した。

 わずか35分間足らずで1ゴール1アシストに2つのPK獲得。欧州ではPK獲得による得点関与をアシスト数に換算するリーグもある中、熊取谷は実質1ゴール3アシストという結果で全4得点に絡んだ。この活躍で優勢を確かなものとしたチームは、前半38分にも太田のゴールで1点を追加し、5点のリードを確保。その後は関西学院大の反撃に襲われ、3点を奪われたものの、最終スコア5-3で初戦突破を果たした。

 試合後、報道陣の取材に応じた熊取谷は「結果を狙っていたのもそうだけど、やっぱりチームの代表として、明治の代表として試合に出ているので、出るからには覚悟を決めて自信を持ってピッチに立とうと思っていた」とチームへの想いを強調。そのうえで「それがこういうPK獲得、ゴール、アシストという結果につながったと思う」と喜びを語った。

 熊取谷にとって今季は順風満帆なシーズンではなかった。今年3月、早生まれのため出場資格があったU-20アジア杯メンバーに入り、注目を集めたが、5月のU-20W杯メンバーでは選外。アルゼンチン行きのチャンスを逃すと、関東大学リーグでは4ゴール2アシストという結果に終わった。一方、チーム内では同世代の中村が大ブレイク。16得点12アシストで得点王とアシスト王をダブル受賞を果たしていた。

「本当にうまくいかないことの連続だったし、悩みながら、でもそれでもブレずに自分の課題と向き合ってやろうと思っていた。なかなかシュートを打っても点が入らなかったり、中村とか太田さんが結果を残していた中、自分が同じように結果を残せない不甲斐なさがあった。プレー面、精神面、いろんなところで苦しい思いをしてもがきながらやってきた」(熊取谷)

 代表落選では「チームを勝たせるために勢いのあるプレーが足りなかった」という課題を突きつけられ、自身不在のまま完敗したU-20W杯では「個人が強くないと世界では難しい」という課題を学び取った。また関東大学リーグのシーズンを戦う中では「自分の良さを忘れてしまいそうになることがあった」という。

 それでも苦しんだ日々は無駄ではなかった。「もう一度、自分の良さは何なのかと見つめ直して、今日の得点に絡んだシーンが自分の良さだったと思う。それを見つめ直せた期間だった」。まさにこの日のようなパフォーマンスが、自身が追い求めていた姿だった。

「まだ2回戦だけど、それをこの場で表現できたことがポジティブだった。でもまだまだ優勝まであるので、次の一戦も自分が活躍して、チームのために走りたい」。そう先を見つめることも忘れなかったが、この一戦が鬱憤を晴らし、自信を掴む契機となったのは間違いなさそうだ。

 U-20W杯の敗退とともに同カテゴリの活動は終わり、次のステージはパリ世代のU-22日本代表となる。それでも「次の試合から活躍しないとダメだし、その後も活躍しないとダメ。そうやって活躍して初めて代表というのも見えてくると思う」と、いまは強く意識はしていない。頭にあるのは「チームのため」という意識。ここから始まった今大会で、変わらぬパフォーマンスを続けていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)

●第72回全日本大学選手権(インカレ)特集
竹内達也
Text by 竹内達也

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