[12.13 インカレ3回戦 筑波大 2-0 中京大 AGFフィールド]

　ストライカー顔負けのヘディングシュートで勝利を決定づけた。1-0で迎えた後半アディショナルタイム2分、筑波大は右サイドを攻め上がったDF沖田空がゴール前にクロスを送ると、MF瀬良俊太(4年=大宮U18/富山内定)が身体を投げ出しながら反応。「あんなダイビングヘッドっぽく決めたのは人生で初めて」という豪快な一撃を突き刺した。

「自分の前にコースが見えたので来ると思ったら、空がいいボールを上げてくれた。今日もボールのクオリティーが高かったので合わせられてよかった」

　試合途中からトップ下にポジションを移し、よりゴールに近いエリアでプレーしていた時間帯の得点だった。「ビルドアップを助けたり、上手さを出すだけでは足りないと思うので、点を決められたのは大きい」。持ち味はビルドアップに関わりながらのゲームメークだが、結果につながる働きには手応えを口にした。

　もともとはボランチを本職としており、「正直ボランチでやりたい」という本音も口にする。だが、この日のオプション布陣では右サイドでの先発だった。とはいえビルドアップ時は自身が内側に絞ってボールを受けに下がり、右の大外は沖田に任せるという役割分担。攻撃時は「ボランチとほぼ役割は変わらない」といい、スムーズに攻撃を前進させていた。

「自分が右サイドに入ったらこういう役割というのを相太さん(実質指揮を執る平山相太ヘッドコーチ)も理解してくれているし、自分が右に入ったらちょっとサッカーも変わるということで、役割を意識しながらやるようにしている」。いまでは「そんなにストレスなくやれている」と手応えを重ねているようだ。

　来季からはJ3リーグの富山に加入。「活躍しないと先はないと思っている。自分が富山に来たからJ2上がったと思ってもらえるような活躍ができたら」。そう意気込みを語る瀬良はクラブ史上初のJ3降格となった古巣の大宮アルディージャとの対戦も控え、「倒したいっす」と笑みを浮かべた。

　それでもまずはこのインカレに集中し、筑波大に全国タイトルの置き土産を残していくつもりだ。「筑波が勝つためにというのをみんなが考えてくれているからこそいい結果が出ていると思うし、それを続けていけば優勝という可能性も上がっていくと思う」。自身のキャリアよりもチームのため。その思いで残り2試合を戦っていく。

(取材・文　竹内達也)

---

●第72回全日本大学選手権(インカレ)特集