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先発が決まったのは前日…京産大、主力DF欠場のピンチを救った代役1年生DF小野成夢「とにかくバトンを繋げたかった」

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MF松永颯汰の突破を封じるDF小野成夢(右)

[12.21 インカレ準決勝 流通経済大2-2(PK3-4)京都産業大 流通経済大学龍ケ崎フィールド]

 ベスト4に勝ち上がっていた京都産業大(関西1)だが、3回戦の福岡大戦でDF西村翔(4年=G大阪ユース)がレッドカードで退場。そのために準決勝では守備の要の一人を欠く戦いを強いられることになっていた。

 ただ代役に指名された1年生DFが、その穴を埋めて余りある存在感をみせた。左CBで先発したDF小野成夢(1年=愛媛U-18)は、180cmの身長を生かしたハイボールの処理、落ち着いたビルドアップで難敵・流経大の攻撃を跳ね返していく。

 そして多くの選手が足をつらせる死闘となった中で、小野は最後までピッチに立ち続けた。「緊張はありましたが、4回生は負けたら終わりという中で、とにかくバトンを繋げたかった。自分は結果を出すだけ、勝ちたいという気持ちだけでした」。無我夢中で120分を走り続けた。

 先発出場は前日に決まったという。吉川拓也監督によると、最初はDF佐藤幸生(4年=広島ユース)の出場を考えていたが、CBの相方となるDF横窪皇太(3年=金光大阪高)のポジションまで変更しなければいけなかったことから、「そうするとDFラインも大きく変わる。小野も佐藤もしっかりやってくれていたけど、バランスを考えてチョイスした」と経緯を説明した。

 小野自身は西村にかけられた言葉に感謝する。「前日に決まったので緊張もあったけど、バスを降りたときに翔君から『頑張れよ』『緊張しなくていいよ』と声をかけてもらった。だから入りも上手く入れた。そこは大きかったと思います」と頷きながら話す。

 とにかく「バトン」は繋がった。「もっと上手くなるんだ、というどん欲さ」を教えてもらったという4年生と一緒にできるゲームは、泣いても笑ってもあと1試合しかない。「上手い4年生とやれたことが大切なんだなと思いました」。24日の決勝は最高の思い出にしてみせる。

(取材・文 児玉幸洋)

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児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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