東京世代“招集歴なし”から大逆転! 毎熊晟矢をA代表に導いた周囲の言葉「近い将来、絶対に代表になれるからと…」
第2次森保ジャパン発足後初のヨーロッパ遠征という貴重な機会で、Jリーグで年々存在感を高めている右SBが待望の日本代表初招集を果たした。4日の練習後、DF毎熊晟矢(C大阪)は報道陣の取材に応じ、A代表での意気込みを「Jリーグと違う強度、プレースピードもあると思うので、そういったところをどんどん吸収していきたい」と語った。
今回の9月シリーズでは、カタールW杯以来となるドイツとの再戦、日韓W杯以来21年ぶりとなるトルコとの対戦を控える森保ジャパン。8月31日に行われたメンバー発表では26人中22人を海外組が占める中、毎熊の名前が初めてリストに入った。東京五輪世代にあたる1997年生まれだが、森保一監督が率いた同代表の招集経験はなし。大逆転でのA代表入りとなった。
東福岡高、桃山学院大時代はアタッカーが本職だったが、J2のV・ファーレン長崎でプレーしていたプロ初年度にサイドバックにコンバート。昨季加入したC大阪ではサイドハーフを担うこともあったが、持ち味の攻撃性と豊富なスタミナに裏打ちされた粘り強い守備でキャリアを切り拓いてきた。
「守備の選手なのでもちろん守備のところは対人だったり、負けないってところを見せたいし、攻撃が自分のストロングポイントだと思う。他の選手と違った部分、違った特徴が攻撃でもあると思うので、そういった部分をどんどん出していけたらなと思う」(毎熊)。そんなハイブリッドさをA代表チームでも見せたいところだ。
日本代表ではカタールW杯を終えた後、第1次森保ジャパンを支えた酒井宏樹、山根視来、室屋成らが招集されていないこともあり、SBは手薄なポジションとなっている。3月・6月シリーズはDF菅原由勢(AZ)が主力に君臨し、今回はDF橋岡大樹も招集されているが、ここから白熱した競争が続いていくことが予想される。
毎熊は第2次森保ジャパンの戦いぶりについて「自分より若い選手、同年代の選手が中心となっているのを見て、もちろん技術が高いですし、そこに対して同年代なのですごく刺激も受けましたし、この中でやってみたいという気持ちも持ちながら見ていた」といい、その目標が叶った今では「日本代表のためにも、こうやって初めて入った選手がいまいるメンバーを脅かすくらいのプレーをしないといけない」と決意を見せる。
さらに「2試合しかない中でもライバルのポジションの選手も2人いるので、この日ごろの練習がこの2試合での出場時間の鍵になるかなと思っている。一日一日大切にして、試合に使っていただけるようにアピールするところをやっていきたい」と意欲。「海外でやることもあまりないけど気温だったり、すごくやりやすい環境でやれる。移動は少し遠かったし、長かったけど、そこまで身体も疲れてないので明日からリフレッシュしてやれる」と日本からの長距離移動にも疲れた様子を見せず、アピールしていくつもりだ。
第2次森保ジャパンではSBが中央寄りビルドアップに関わるタスクを課されており、SBには戦術的なキーマンとしての働きも求められる。
毎熊は新たなSBの役割も「自分は内でも外でもプレーできると思っていて、(サイドには)外でストロングポイントがある選手だったり、中に入って来れる選手もいると思うけど、選手によって自分は使い分けられると思う」と望むところ。「より相手が怖いペナルティエリアに入っていくという部分が自分の一番の特徴かなと思うので、そこに入っていく回数も増やしたいし、そこからのクオリティも意識してやっていきたい」と持ち味発揮にモチベーションを燃やした。
そんな毎熊がA代表入りを現実的に考えるようになったのは昨季、J2の長崎からJ1のC大阪に加入した後のことだった。その野心に火をつけたのは小菊昭雄監督。毎熊は「去年サイドハーフで出ていた頃から『近い将来、絶対に代表になれると思うから目指せ』と言われていた。『自分が信じないとそこの目標には辿り着けないから』っていうのは言われていたので、自分に言い聞かせるようにしていましたた」と明かした。
指揮官からはモロッコ代表DFアクラフ・ハキミになぞらえた“和製ハキミ”の二つ名も与えられた。毎熊は「小菊監督が振り返りのミーティングで、自分が二人相手を剥がしたシーンが出てきて、その時にちょっといじられ気味で言われました」と冗談混じりに当時を振り返りつつも、「世界的に見てもすごい選手ですし、小菊監督もちょっと冗談っぽく言いましたけど、冗談だけでは言わない監督なので素直に嬉しかったです」と照れ笑いを浮かべていた。
また毎熊にとって、今季から共にプレーしている元日本代表MF香川真司の存在も大きな力になっていた。「(香川)真司さんには代表に入る前からずっと『次狙え』みたいなのは言われていましたし、来る前に『セレッソでやっているような感じでやれば絶対に大丈夫だから』と言っていただいた」。所属クラブとは違った代表での役割に不安も覚えていたそうだが、そこでの迷いがなくなったのだという。
「自分の中でどう練習から特徴を出そうかと考えていたんですけど、『セレッソでやっているような感じでやれば大丈夫』というのを言っていただけたので、ちょっと気持ちが楽になった。チームで練習から出している自分の良さをというのを、先ほども言った攻撃の部分を出していけたらなと思っている」
世代別代表の経験もないため、ヨーロッパ遠征は大学3年次の全日本大学選抜イタリア遠征以来のこと。「もちろん日本代表は小さい頃から夢でしたし、目指してきた部分ではあったんですけど、自分は小さい頃からトップの選手ではなかったですし、自分は特別じゃないというのは言い聞かせてやってきた。本当に日頃からコツコツと積み上げることしか自分にはできないと思って学生時代からやってきた。そこは学生から変わらず、プロに入っても一歩一歩という形でやってきました」。懸命な努力で自ら掴んだチャンス、まずは練習場のピッチでぶつけるつもりだ。
(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア2次予選特集ページ
今回の9月シリーズでは、カタールW杯以来となるドイツとの再戦、日韓W杯以来21年ぶりとなるトルコとの対戦を控える森保ジャパン。8月31日に行われたメンバー発表では26人中22人を海外組が占める中、毎熊の名前が初めてリストに入った。東京五輪世代にあたる1997年生まれだが、森保一監督が率いた同代表の招集経験はなし。大逆転でのA代表入りとなった。
東福岡高、桃山学院大時代はアタッカーが本職だったが、J2のV・ファーレン長崎でプレーしていたプロ初年度にサイドバックにコンバート。昨季加入したC大阪ではサイドハーフを担うこともあったが、持ち味の攻撃性と豊富なスタミナに裏打ちされた粘り強い守備でキャリアを切り拓いてきた。
「守備の選手なのでもちろん守備のところは対人だったり、負けないってところを見せたいし、攻撃が自分のストロングポイントだと思う。他の選手と違った部分、違った特徴が攻撃でもあると思うので、そういった部分をどんどん出していけたらなと思う」(毎熊)。そんなハイブリッドさをA代表チームでも見せたいところだ。
日本代表ではカタールW杯を終えた後、第1次森保ジャパンを支えた酒井宏樹、山根視来、室屋成らが招集されていないこともあり、SBは手薄なポジションとなっている。3月・6月シリーズはDF菅原由勢(AZ)が主力に君臨し、今回はDF橋岡大樹も招集されているが、ここから白熱した競争が続いていくことが予想される。
毎熊は第2次森保ジャパンの戦いぶりについて「自分より若い選手、同年代の選手が中心となっているのを見て、もちろん技術が高いですし、そこに対して同年代なのですごく刺激も受けましたし、この中でやってみたいという気持ちも持ちながら見ていた」といい、その目標が叶った今では「日本代表のためにも、こうやって初めて入った選手がいまいるメンバーを脅かすくらいのプレーをしないといけない」と決意を見せる。
さらに「2試合しかない中でもライバルのポジションの選手も2人いるので、この日ごろの練習がこの2試合での出場時間の鍵になるかなと思っている。一日一日大切にして、試合に使っていただけるようにアピールするところをやっていきたい」と意欲。「海外でやることもあまりないけど気温だったり、すごくやりやすい環境でやれる。移動は少し遠かったし、長かったけど、そこまで身体も疲れてないので明日からリフレッシュしてやれる」と日本からの長距離移動にも疲れた様子を見せず、アピールしていくつもりだ。
第2次森保ジャパンではSBが中央寄りビルドアップに関わるタスクを課されており、SBには戦術的なキーマンとしての働きも求められる。
毎熊は新たなSBの役割も「自分は内でも外でもプレーできると思っていて、(サイドには)外でストロングポイントがある選手だったり、中に入って来れる選手もいると思うけど、選手によって自分は使い分けられると思う」と望むところ。「より相手が怖いペナルティエリアに入っていくという部分が自分の一番の特徴かなと思うので、そこに入っていく回数も増やしたいし、そこからのクオリティも意識してやっていきたい」と持ち味発揮にモチベーションを燃やした。
そんな毎熊がA代表入りを現実的に考えるようになったのは昨季、J2の長崎からJ1のC大阪に加入した後のことだった。その野心に火をつけたのは小菊昭雄監督。毎熊は「去年サイドハーフで出ていた頃から『近い将来、絶対に代表になれると思うから目指せ』と言われていた。『自分が信じないとそこの目標には辿り着けないから』っていうのは言われていたので、自分に言い聞かせるようにしていましたた」と明かした。
指揮官からはモロッコ代表DFアクラフ・ハキミになぞらえた“和製ハキミ”の二つ名も与えられた。毎熊は「小菊監督が振り返りのミーティングで、自分が二人相手を剥がしたシーンが出てきて、その時にちょっといじられ気味で言われました」と冗談混じりに当時を振り返りつつも、「世界的に見てもすごい選手ですし、小菊監督もちょっと冗談っぽく言いましたけど、冗談だけでは言わない監督なので素直に嬉しかったです」と照れ笑いを浮かべていた。
また毎熊にとって、今季から共にプレーしている元日本代表MF香川真司の存在も大きな力になっていた。「(香川)真司さんには代表に入る前からずっと『次狙え』みたいなのは言われていましたし、来る前に『セレッソでやっているような感じでやれば絶対に大丈夫だから』と言っていただいた」。所属クラブとは違った代表での役割に不安も覚えていたそうだが、そこでの迷いがなくなったのだという。
「自分の中でどう練習から特徴を出そうかと考えていたんですけど、『セレッソでやっているような感じでやれば大丈夫』というのを言っていただけたので、ちょっと気持ちが楽になった。チームで練習から出している自分の良さをというのを、先ほども言った攻撃の部分を出していけたらなと思っている」
世代別代表の経験もないため、ヨーロッパ遠征は大学3年次の全日本大学選抜イタリア遠征以来のこと。「もちろん日本代表は小さい頃から夢でしたし、目指してきた部分ではあったんですけど、自分は小さい頃からトップの選手ではなかったですし、自分は特別じゃないというのは言い聞かせてやってきた。本当に日頃からコツコツと積み上げることしか自分にはできないと思って学生時代からやってきた。そこは学生から変わらず、プロに入っても一歩一歩という形でやってきました」。懸命な努力で自ら掴んだチャンス、まずは練習場のピッチでぶつけるつもりだ。
(取材・文 竹内達也)
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