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W杯ではジョーカー起用…ドイツとの再戦に三笘薫「あの時より成長していることは確か」

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MF三笘薫(ブライトン)

 スーパーサブ起用で異彩を放ったカタールW杯から9か月、MF三笘薫(ブライトン)はプレミアリーグでの大きな飛躍を経て、日本代表の絶対的中心選手として再びドイツ戦を迎えようとしている。

 W杯後の3月・6月シリーズは全4試合に先発し、2ゴール2アシストを記録。「僕自身の立ち位置も少しずつ変わってきているし、監督からの信頼は出場(時間)のところでも表れてきているので、これを継続させたいという気持ちと、毎試合が競争なので。もちろんそういうところでしっかりと出しながら、リラックスするところはしてということを思っている」。当時からの変化を前向きに受け止め、堂々と世界屈指の強豪国に挑んでいく構えだ。

 昨年末のカタールW杯、三笘は体調不良で合流が遅れたこともあり、全4試合とも途中出場にとどまった。グループリーグ初戦のドイツ戦をはじめ、左ウイングバックのジョーカー起用で攻撃を牽引。“三笘の1ミリ”で話題を呼んだスペイン戦の決勝アシストなど結果も残したが、出場時間を考えると本領発揮に至ったとは言い切れない大会に終わった。

 それでもその後、三笘は世界最高峰とされるプレミアリーグで着実に結果を残し、世界でもその名が広く知れ渡る存在となった。W杯後からの24試合で7ゴール6アシストを記録すると、第2次体制が発足した日本代表でも主力に定着。今季も開幕4試合で1ゴール3アシストという上々の結果を残している。

 三笘自身はこうした活躍について「チームのタスクに対してやるべきことはある程度できているという自信はある」としながらも「最後のところの質はまだまだ足りないと思っているので、もっともっとチャンスに顔を出せるようにしたい」と冷静な見方を崩さない。それでも代表での役割に話が及ぶと、所属先で積み重ねてきた自信が随所ににじむ。

 9日にはカタールW杯以来となるドイツ戦を控える中、「相手もリベンジの気持ちあると思いますし、僕らもそれに負けないようにしたい。あの時より成長していることは確かだと思うので、それをチームとしても見せられればいい」と断言。「W杯で対戦する緊張感とは違うけど、手応えは少しずつあるので、それをどこまでやれるかを見せられたら」と力を込めた。

 またカタールW杯のような結果に加えて、チーム全体の成長にもフォーカスしていくつもりだ。

 特に問われるのはカタールW杯での対戦で前半に大きな課題を残し、第2次体制でトライが続くボールポゼッション。集合初日を終えた現時点ではドイツ戦に向けたミーティングを行っていないこともあり、「チームも選手も全員自信はあると思うし、ボールを持てる選手が多いので、なるべく高い位置でボールを握れるようなところは見せたいけど、相手があってのことなので相手がどういうふうに出てくるか見ながらプレーしないといけない」と述べるにとどめたが、攻撃の時間をどれほど増やせるかは大きな争点となりそうだ。

 三笘は「W杯の経験があって、そういう結果があって大きなインパクトを残したと思うし、次にまた勝つことができれば日本全体が『強くなった』というふうに思うと思う。結果にはこだわりたい。だけど、その次の大会につながるようなテストマッチもなかなかできないので、そういうところでもいろんな課題が発見できるような試合にしたい」と結果と内容の両立に意欲を示した。

 その中でも、三笘個人としては一つ一つのプレーに照準を合わせていく構えだ。「勝ちにつながるようなプレーを見せられればいいけど、一つ一つのプレーが積み重なって結果になっている。球際だったりするところが直接的に結び付いてなくても展開に影響してることは確かなので、そういう一つ一つの積み重ねでプレミアでやっているところを出せれば」。3年後の北中米W杯の主役へ。世界最高峰の舞台でブレイクを続ける26歳は、まずはドイツとのリターンマッチで日常の違いを表現してみせる。

(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア2次予選特集ページ
竹内達也
Text by 竹内達也

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