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なでしこジャパンvs南アフリカ 試合後の佐々木監督会見要旨

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[7.31 ロンドン五輪F組 日本0-0南アフリカ カーディフ]

 日本女子代表(なでしこジャパン)は31日、ロンドン五輪グループリーグ第3戦で南アフリカ女子代表と対戦した。先発7人を入れ替えた日本は攻撃でもリスクを冒さず、0-0のスコアレスドローで試合を終えた。この結果、F組を2位で通過した日本は8月3日の準々決勝でE組2位のブラジルと対戦する。

以下、試合後の佐々木監督会見要旨

佐々木則夫監督
「次への準備をまず考えた。とにかく相手はどこでもよかった。このピッチで、移動なく(準々決勝が)できるか。(1位通過して)移動があると、グラスゴーまで丸1日かかる。一度、ヒースロー(空港)に行く必要があり、約8時間かかる。次の準備として何がいいか。それはここ(カーディフ)に残ることだった。ターンオーバーして、次への準備を数多くやる。スタートから引き分けを狙うのではなく、普通にやりながら後半途中の経過次第でドローも狙おうとスタートした。後半は僕の指示で、選手はよくやってくれた。次に向けたいい準備になると、選手とも一致していたというか、理解してくれていた。その中で、違った戦いが選手にはあったと思う。選手は指示どおりやってくれた。僕はここでの準々決勝に何が何でも勝たせて、ベスト4に行く。それに尽きる」

―2位通過という結果以外の収穫は? 前日会見では先発の入れ替えは『小ガラ』と話していたが?
「結果の引き分けという成果以外に、あの空気、あのピッチに全員が立って、オリンピックの感触を味わった。引き分け狙いでスタートしていないし、選手がどんなコンディションか。練習でいい割にはピッチに入ったら精度が低いな。こうすればこうできるんだな。そういう一人ひとりの見極めができたのは成果。小ガラでいこうと思っていたが、一晩考えて、(試合中に)何かあったら(控え組を途中から)使えない可能性がある。それなら全員を(先発で)出して、スタメン組は控えでコントロールしようと思った」

―後半12分に投入した川澄への指示は?
「スウェーデン対カナダの試合は派手な経過で、我々が戦っている中では(スウェーデン対カナダが)2-0でも2-1でも普通にやらせていた。岩渕の足の状態もあったので、(川澄を)早めに投入したが、川澄には『向こうが2-1なのでどうなるか分からない。申し訳ないけど、カットインしての素晴らしいシュートはやめてくれ』と指示した。(スウェーデン対カナダが)2-2になった瞬間は『全員でポゼッションしてくれ』と。宮間は次もあるし、疲労を考慮した。阪口と田中中心でボールを動かしてほしいと伝えた。(後半ロスタイムの)大儀見の投入は、くさびのところでボールを取られてカウンターを受けるとまずい。それに、何かあって点を取られたときに点を取り返す役目があると大儀見には伝えた。引き分け狙いという選手にはつらい思いをさせたかもしれない。過去にない指示どおりにやってくれた」

―矢野を含めた控え組の評価は? 引き分けを狙えと指示をしたのはいつ?
「矢野は安定したプレーを見せてくれたと評価している。他の選手はボーダーラインというか、まあまあという感じ。前半は普通に戦ったが、あまりいい戦いができなかったのは現実。2位狙いと言ったのは今日。『後半途中の経過状況で』とは話したが、そういう空気が多少ありながら、僕がその言葉を発した中で、『前半は普通にやる』と言っても、なかなかフレキシブルにできなかった。後半の状況次第で残り時間が少なければ可能だろうという話だったが、その言葉を発した時点で、仕掛けの意識、シュートの意識は落ちていたと思う。その言葉を発した時点で選手は動揺した。内容の部分はストレートに伝えられない。選手は指示をまっとうしてくれた。控え選手は点を取りたい気持ちもある中でよくやってくれた」

―準々決勝の会場はなぜグラスゴーではなく、カーディフがいいと思ったのか? 観客はゴールやエンターテインメントを求めているが?
「ここを選んだのはコンディショニングの部分。オリンピックは挑戦者。目標を達成するためにはそういう狙いもあり得る。テレビで応援してくれる人たち、試合を見ている少年少女にサッカーのスペクタクルさを見せるという意味では、申し訳なかった。それは僕の責任。選手に指示してやらせたのは僕。次にスペクタクルないい試合を見せる。選手にいいパフォーマンスを出させることでお返ししたい。それに尽きる」

―選手が動揺したことで今後への影響が心配されるが?
「僕が(後半の経過次第で引き分けも狙うと)言った時点で、思い切りプレーできなかったのではないかというのが僕の見解。それは勝手に心配してくれて結構。それは僕が次への準備の中でしっかりやること。選手もこの結果には満足していると思う。満足しているか聞いてはないけど、ロッカールームの雰囲気を見て、そう感じた」

―準々決勝ではイギリスと対戦する可能性もあるが?
「イギリスかどうかは分からないが、いずれにしてもイングランドには(昨年の)W杯で負けている。今回はアウェーだが、そのときのリベンジを果たしたい。そして次のステージに上りたい。どちらもいいチーム。簡単ではないが、こういう試合を経験して、それを達成しないといけない」

(取材・文 西山紘平)

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