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なでしこへの理解求める吉田、「日本人はまじめだから…」

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[8.1 ロンドン五輪D組 日本0-0ホンジュラス コベントリー]

 2日連続で似たような光景がピッチに広がった。0-0のまま迎えた終盤、選手たちはリスクを冒すことなく、試合を終わらせた。引き分け以上で首位通過が決まる一戦。関塚隆監督が「最後の方は『CBもCKで上がらなくていい』と指示は出した」と認めたように、無理をして勝ちに行き、カウンターから失点するようなことだけは絶対にできない。当然のリスクマネジメントだった。

 前日31日、南アフリカ女子代表とやはり0-0のスコアレスドローに終わった日本女子代表(なでしこジャパン)の試合とは状況が異なる。なでしこの場合は、1点を取って勝つと首位通過となり、“2位狙い”の目的を果たせなかった。そのため点を取られないのはもちろん、点を取ってもいけなかった。

 U-23日本代表は点を取って勝っても構わなかったが、終盤は失点しないリスク管理の下、結果的に0-0で終わった。いずれにせよ、試合の最後の最後まで1点をめぐる激しい攻防が繰り広げられるような試合ではなかった。

 男子の場合、相手の状況も関係していた。ホンジュラスは引き分け以上で2位以内が確定し、準々決勝進出が決まる。しかし、負けた場合はスペイン対モロッコの結果次第で敗退となる。両チームともに“負けたくない”試合だった。

「ホンジュラスも2位でよかったから、あまり前から来なかった。見ている方はあまり面白くなかったかもしれないけど、そういう展開になったのでしょうがない。勝ちたかったけど、相手があまりにも来なくて、そこまでする必要がなかった」。DF吉田麻也はそう言って、申し訳なさそうな表情を浮かべた。

 なでしこジャパンの佐々木則夫監督が南アフリカ戦後の記者会見で「後半途中の経過次第でドローも狙おうとスタートした」と認めたことは、さまざまな場で議論を呼んだ。当然、それはU-23代表の選手たちの耳にも入っていた。

「日本人はまじめだから、すべてに全力を注がないといけないみたいなところがある。でも、ずる賢さも大事。このチームに入っても、みんな優しいし、そういう駆け引きがうまくないと感じた。それもサッカーだし、そこを理解してもらわないと……」。吉田はそう胸の内を明かし、「あんまりこのことは話したくないんだよ」と、ナーバスな話題を切り上げ、目の前の試合に集中していた。

(取材・文 西山紘平)

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