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「自分がやった方が成長すると思えば…」佐々木監督は去就明言せず

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[8.9 ロンドン五輪決勝 日本1-2アメリカ ロンドン]

 最後はなでしこらしく笑顔で締めくくった。決勝後の表彰式。日本女子代表(なでしこジャパン)の選手たちは全員で手をつないで入場した。銀メダルの表彰になると、一人ずつ頭を下げてお辞儀。最後は全員で両手を上げてバンザイし、喜びを爆発させた。

「選手たちはこの大会で一番いいゲームをしてくれた。決勝にふさわしいゲームだった。オリンピックの決勝でチャンピオンに立つという目標を立てて、結果は出なかったけど、選手を誇りに思う。よくやってくれた。ご苦労様と言いたい」。佐々木則夫監督はそう言って、選手たちに感謝した。

 試合後の記者会見で海外メディアから「なでしこジャパンの良いところはどこか?」と聞かれると、「チームワークだと思う」と即答。「明るくて、正義感があり、フェアプレーを心がけ、常に相手をリスペクトするような子たち。それが結集すると、あんな小さい子たちでもすごいパワーを出す。そんな日本の女性の素晴らしさがなでしこジャパンのチームに植え付けられていることを僕自身、誇りに思っている」と胸を張った。

 試合直後、敗戦にうなだれ、泣き崩れる選手もいる中、ピッチ上で“最後”の円陣を組んだ。「決勝の舞台に恥じることのない、正々堂々としたフェアプレーでやってくれて、僕自身満足しているし、選手に感謝している。『胸を張って、この銀メダルを胸にかかげて帰ろう』と話した」。チームは最初から最後まで一つだった。

「日本語で書くと、金より良いと書いて『銀』。それがなでしこの次につながることもあるのかなと思う」。試合前にはそう冗談交じりに話していた指揮官。「立派な銀メダルだと思う。『金より良い銀になった』と言われるように、これから選手たちが精進しないといけない」と、この銀メダルをさらなる糧にしていってほしいとの思いを口にした。

 前日会見では「明日のピッチで、僕自身の最終章としての成果がどれだけ出せるか」と、今大会後の退任も示唆した。この日も「チャンピオンになれなかった、チームとしての大きな目標を達成できなかったわけですから、帰ったら(日本で開催される)U-20女子W杯のアンバサダーとしてPR活動を一生懸命やって、上層部にコネをつくって選択枠を広くしていきたいと思っています」と笑わせたが、記者会見後のミックスゾーンでは自身の去就への明言を避けた。

「北京後のこのチームで、という意味での集大成。あまりそうやって辞めさせないでよ」。そう笑った佐々木監督は「僕がこの先もやって成長するのか。それとも別の人がやって、違うカラーを入れた方がいいのか。選手も慣れてダラダラするかもしれないし」と指摘。日本サッカー協会との契約は9月までといい、「自分がやった方が成長すると思ったら、『俺にやらせてくれ』とお願いするし、この1か月で考えたい」と話すにとどまった。

(取材・文 西山紘平)

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