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GK川原(名古屋)「カズさんの加入はプラスになる」

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 10年以上にわたって、日本代表のゴールマウスを守っている名古屋オーシャンズのGK川原永光が、横浜FCのFW三浦知良の代表初招集について「カズさんは、僕らができないことをしてくれる」と喜んだ。

 長らく日本のトップレベルでプレーしてきた川原は、フットサルに足りないことを口にした。カズは「選手たちのモチベーションも上がるし、責任感を持つようになる」と、日本協会の大仁邦彌会長に、勝利給を出すことを要望した。こういったことは、フットサル界でプレーし続けてきた選手にはできない、と川原は言う。

「カズさんの招集は、フットサル界にとって本当に大きい。僕らにできないことをしてくれるから。集客という意味でもそうだし、実際の話を聞いたわけではないから分からないけど、スポーツ新聞に報じられているように勝利給の話とかを協会にしてくれているのは、今後のフットサル界にも大きい。サッカーだけでなく、フットサル界の雰囲気もカズさんが来て良くなれば、子供たちも『フットサルをやってみたい』と思うようになるかもしれない」

 不安があるとすれば、ピッチ内での話だろう。日本代表は5月に行われたアジア選手権で、堅守を武器に大会を勝ち進んだ。選手たちも「守りは大会を通じて良くなった」と手応えを口にしている。しかし、今回新たに招集されたカズ、FP森岡薫はともに最前線に入る選手だ。彼らがチームに組み込まれることになれば、連係面の再構築が必要になるだろう。

「アジア予選からではなく、W杯からプレーするというのは、少し不安ですね。カズさんが実際にどれだけプレーできるのか、一緒にやったことがないからどうしても疑問視してしまう。また、W杯は個人の能力が高い相手と戦うから、カバーリングし合わないと戦えない。そこにポンと来てできるかどうか。かみ合うかは分からない」と、川原も認める。

 また、仮にカズがW杯のメンバーに招集されれば、この4年に一度の大会を目指してフットサルに取り組んできた選手が、一人外れることになる。それでも、川原は「やっぱりプラスになると思う」と、自論を展開した。「僕がGKだからかもしれない。FPは思うことがあるかもしれないけど」と前置きをした上で「自分も含めて憧れていた存在だし、今までサッカーの代表でやってきた経験から、多くのことを学べると思う。サッカーの方が歴史はあるし、そこのトップでやり続けている人だから」。

 川原自身も、かつてフットサル日本代表で、現横浜FCのGKコーチである田北雄気に正GKの座を奪われた時期があった。それでも、浦和などJリーグの複数クラブでプレーした後に、フットサル日本代表に加わった田北から、多くのことを学んだと振り返る。

「田北さんが来て、僕はベンチになったけど、学ぶことはたくさんあった。プロ意識であったり、どうすればチームがまとまって戦えるかも学んだ。カズさんは、経験が豊富だし、本当にいろいろなことを学び取れると思うし、マイナスもあるかもしれないけど、やっぱりプラスになると思う」

 田北だけではなく、ラモス瑠偉や北澤豪ら、カズと親交の深い選手たちもフットサル日本代表としてプレーした経験を持つ。彼らにアドバイスを求めるかと聞かれたカズは「今は聞きません。聞くなら、これから一緒に戦う日本代表選手たちに聞きます」と、積極的にコミュニケーションをとっていく考えを明かした。5月にアジアの頂点に立ち、W杯出場を決めたチームは、日本サッカー界の宝から、その経験を吸収し、11月にタイで開催されるW杯に挑む。

(取材・文 河合拓)

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