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[フットサルW杯2012]W杯に間に合ったFP稲葉「重みを感じつつ、楽しんでくる」

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 日本代表にとって朗報である。「ギリギリ間に合ったっていう感じです。もう大丈夫です」とFP稲葉洸太郎(バルドラール浦安)は、笑顔を見せた。9月下旬からの愛知合宿、今月上旬の静岡合宿では、右ヒザの負傷のため、チームとは別メニューでリハビリに取り組んでいた。しかし、今合宿からはチームの全体練習に完全合流し、合宿4日目の19日もフィジカルトレーニングをこなした。日本屈指のドリブラーは、フットサルW杯を戦う14名のメンバーに滑り込んだ。「正直、ホッとしています。ちょっと状況が状況で、自分のケガもあったので。監督も『焦らずに』と言ってくれたけど、やっぱりプレーで見せないといけなかったので」と、2大会連続のW杯メンバー入りに安堵した。

 初戦で戦うブラジル戦には、特別な思いがある。前回大会で日本代表は1-12と大敗していたが、同時に稲葉は個人的にも大きな借りをつくっていた。前半6分、大観衆の声援でレフェリーの笛が聞こえなかった稲葉は、ドリブルを続けてしまい、最初のイエローカードを受ける。後半12分にはFPファルカンに対してファウルを犯し、2度目の警告を受けて、退場処分となった。「(ブラジル戦は)リベンジですよね。前回のW杯で対戦したときはサッカー、フットサルを通して、人生、初めてのレッドカードをもらったから。初めてレッドをもらった相手だし、(1-12で)大敗したこともある。自分たちがどれだけ伸びたかが問われるところ」。

 現在もトレーニングキャンプに参加しているFP滝田学(ペスカドーラ町田)、FP仁部屋和弘(バサジィ大分)は、W杯の登録メンバーの選から漏れた。稲葉自身、04年大会の予選は日本代表の一員として、W杯出場権の獲得に貢献した。しかし、本大会を前に代表メンバーから落選している。合宿中も彼らと一緒に過ごすことの多い稲葉は、「結果にこだわって、しっかりグループステージを突破するために、やれることはやりたい。ニブ(仁部屋和弘)とか、タキ(滝田学)のぶんも…。結構、このメンバーで一緒にやってきていたし、やつらは僕と(北原)亘と一緒にいたりしたからね。そういうことを含めて、アイツらの分もやりたい」と、痛みを知るゆえの決意を口にし、彼らにエールを送った。

「あの2人は若いし、次が絶対にある。これからの日本代表を引っ張って行ってくれる存在だから、頑張ってほしい。僕も8年前は予選のメンバーに選ばれていたけど、W杯の本大会には行けなかった。そういうことはみんな経験している。グレ(木暮賢一郎)さんとかもあったと思うし、それをプラスにしてほしい。その分、僕らも頑張る。フットサル界全員の代表だから。そこはしっかりと重みを感じて、かつ楽しんできたいです」

 24日には、前哨戦となるブラジル戦が、東京・代々木第一体育館で行われる。同会場で行われるフットサルの公式戦で、チケットが完売したのは初めてのことだ。「フットサルっていうものを知ってもらうきっかけにはなると思う。そこで自分たちがつまらない試合をしたらもったいない。そこはしっかり、楽しい試合をして、気持ちの入った試合をしてやりたいなと思います」。目を輝かせながら話す稲葉は、自身が楽しんでプレーすることが、結果にもつながっていくことを、よく知っている。

(取材・文 河合拓)

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