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用意周到に準備していた秘策…“世紀のオフサイドトラップ”の舞台裏

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セネガル戦先発組はウォーキングなどでクールダウン

 24日のセネガル戦(2-2)で日本代表が見せた鮮やかなオフサイドトラップが世界のサッカーファンの間で話題を呼んでいる。一夜明けた25日の練習後、MF長谷部誠(フランクフルト)とDF酒井宏樹(マルセイユ)がその“インサイドストーリー”の一端を明かした。

 1-1で迎えた前半45分、自陣右サイド約30mの位置でセネガルにFKを与えた場面だった。身長190cm超の選手が複数並ぶなど、体格的に大幅に日本を上回る相手に対し、危険な位置で与えてしまったセットプレー。試合は1-1の同点で、しかも前半終了間際という時間帯だった。

 キックの直前、ペナルティーエリア沿いに8人を並べた日本は相手キックのタイミングで一気にラインを上げた。すると、ゴール前に走り込んだセネガルの選手6人が置き去りとなり、結果的には全員がオフサイドポジションとなった。

 長谷部によると、西野朗監督から指示が下されて準備に着手したのは今月13日のロシア入り直後。当初はコロンビアとの初戦で仕掛ける狙いだったが、「ピッチ内でやろうという選手と、やめたほうがいいという選手がいたので、やらなかった」(長谷部)のだという。しかし、西野監督は諦めなかった。長谷部は「監督には『2試合目は絶対にかけろ』と言われていた」と振り返った。

 大きな狙いは“駆け引き”だ。「1本あれをやったことで、相手は何かやってくるのではと警戒する。一番最初にやることに意味がある」と長谷部は言う。酒井宏は、身長の高いセネガルに対して日本が不利という状況の中、「あれを一回入れることで、相手が次に一歩遅れるかもしれない。自分たちにも“策があるよ”ということを示せたことが良かった」と説明した。

 場面は前半終了間際。失敗してゴールを与えれば非常に大きなダメージを受ける時間帯で見せた西野監督と選手たちの度胸。グループ最強と警戒していたセネガルから勝ち点1を奪った要因の一つが、用意周到なこの“秘策”だった。

(取材・文 矢内由美子)

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