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「ロシアW杯が終わってから一貫して言ってきた」柴崎岳が白熱の“ボランチ争い”を歓迎する理由

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日本代表MF柴崎岳(レガネス)

 MF柴崎岳(レガネス)が1日、日本代表活動中のオンライン取材に応じた。昨年11月のオーストリア遠征以来、約10か月ぶりの代表復帰。カタールW杯最終予選に向けて「これまでと違った戦いになると思うし、非常に厳しい戦いになることを自覚しながら臨んでいきたい」と意気込みを語った。

 日本代表は2021年に入り、3月と6月にカタールW杯アジア2次予選を戦っていたが、柴崎は所属クラブのリーグ戦があったため招集されていなかった。その間、ボランチではMF守田英正やMF川辺駿が台頭し、東京五輪世代でもMF田中碧が絶大な存在感を発揮。当初から主力を担ってきたMF遠藤航を軸としつつも、レギュラー争いがいっそう白熱している。

 もっとも、柴崎は「個人的には競争という感覚ではない」と語る。ロシアW杯で高いパフォーマンスを発揮しながらも悔しさを味わった柴崎にとって、代表チームが結果を出すためには「選手層の厚さ」が重要だと考えているからだ。

「僕自身はロシアW杯が終わってからずっと一貫して、『選手の層、ベンチメンバーを含めて本大会に臨まないといけない』『安定してチームとしての戦いをできるようにしていかないといけない』と言ってきた。僕がいない間にいろんな選手が出てきて、それは僕のポジションだけではないけど、いろんな選手が出ても戦える信頼のようなものができてきている。それをまたこの予選で成長させていきたい」。

「個人的には競争という感覚ではなく、チームとしてどう成長していくかということにフォーカスしているし、その中で自分自身のパフォーマンスを出すかに集中している。コレクティブに戦うことが一番重要だと考えている」。

 2019年5月にゲキサカが単独インタビューを行った際にも、柴崎はカタールW杯について次のように語っていた。

「たとえば50年のスパンで見たときに何回ベスト16まで進出できたのか。その力がついてこそベスト8に入れる可能性も高くなってくると思います。たとえ次の大会でベスト8に入ったとしても、それはもしかしたらギャンブルにイチかバチで勝っただけであって、そういったことって人生で起こりうるものです。100年間ベスト16に入り続けることのほうが難しかったりしますし、W杯に出続けることが大事だと思います」。

 そんな長期的な目線はこの日、「練習後に全試合を見ていた」という東京五輪に関する言葉からも感じられた。4位に終わった東京五輪後、選手たちからはスペインやメキシコの対峙で得た収穫を語る声が聞かれたが、その“学び”は長い目で受け止めるべきだと説く。

「日本ではこれまで、自分たちのアイデアになったり、参考になるような相手に対して、彼らのこういうところを模倣していく必要があるとか、そういった発言がこれまでもたくさんあったと思う。ただ、たとえばスペインだったらあのシステムでやり方で一貫してA代表もアンダー世代もやっている。クラブ単位で言えば全てのチームがそうではないが、ある程度似たようなポジションで、アイデアこそ違うがやっているプレー、目指している攻め方、守り方が代表と似ているクラブも多々ある」。

「何が言いたいかというと、続けないと意味がないということであって、短期的にこうしたほうがいい、ああしたほうがいいではない。もし仮に何か一つこういったことをやりたいということがあっても、彼らはそれを何年、何十年かけて積み上げてきているので、すぐにできることではない。そういった歴史、経験を成功や失敗を繰り返しながら続けていくことが日本のスタイルにつながっていくのではないかと思う」。

 日本代表を担う選手の一人として、脈々と受け継がれてきた歴史を紡いでいく存在に。そうした姿勢は「大きな立ち位置とか心構えとしては、目標やイメージを持ちながら、そこに自分がどういうふうに貢献していけるのか、どういうふうに歴史と関わっていけるのかに目を向けていきたいと思っています」と語っていたロシアW杯後から変わっていないようだ。

 もっとも、より前向きな歴史を紡いでいくためにはビッグタイトルでの結果とも向き合うことになる。

 まずは翌日に迫るオマーン戦へ。「ホームというアドバンテージはあるけど、最終予選の1回目という緊張感はあるだろうし、個人的にはどういった試合になるかと見てみないとわからないというところはある。あまり情報がないので、試合に入ってから見るべきところがたくさんあるのかなと思うし、今までやってきた日本代表の戦いをしっかり目指すことが大事」。そうテーマを掲げた柴崎は「1戦目が大事なので、W杯の出場権を得るために1試合目から集中した戦いをしていきたい」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)
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