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インハイ日本一の主将がU-18日本代表でもリーダーとして勝利。MF徳永涼「優勝に繋げたい」

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MF徳永涼(前橋育英高)はU-18日本代表のキャプテンマークを巻いて奮闘

[8.25 SBS杯第1節 U-18日本代表 1-0 U-18ウルグアイ代表 藤枝総合]

 インターハイ優勝校のキャプテンが、U-18日本代表のキャプテンとしてチームをまとめ、劇的な勝利へ導いた。

 04、05年生まれ世代で構成されたU-18日本代表は、SBSカップ初戦で難敵・U-18ウルグアイ代表に1-0で勝利。なかなか得点できない時間帯が続いたが、キャプテンマークを巻いたMF徳永涼(前橋育英高)は、「なかなか入らないのは育英でも経験していたので、決めれなかった選手が悔しがりすぎても絶対にプラスにならないので、声がけのところはプラスに、あとは『冷静になれよ』というところでコントロールは出来たかなと思います」と振り返る。

 カウンター攻撃を得意とするウルグアイに対し、守備のリスク管理を徹底。各選手が繋がりを持ちながら局面局面で対応し、無失点で試合を進めた。一方でサイド攻撃や中央からの崩し、セットプレーでチャンスを作りながらも決め切れず、焦れてもおかしくない試合展開。だが、徳永が「冷静にファイトできたと思う」と説明したように、選手たちは慌てず、「どこで受けたい」「どこにいて欲しい」とコミュニケーションを取りながら戦い続け、後半40+2分の決勝点に繋げた。

 決勝点はいずれも交代出場のMF坂井駿也(鳥栖U-18)、MF阪田澪哉(東山高)、MF 根本鼓太郎(桐蔭横浜大)が絡んでの得点。キャプテンは「チーム一丸となって、ベンチのメンバーもしっかりと鼓舞してくれたし、得点した選手もベンチから来てくれた選手だったので、チーム一体となってこの試合に臨めたのが勝因だと思います」と喜んだ。

 キャプテンを務める前橋育英では、今夏のインターハイで13年ぶりの日本一。徳永は技術力だけでなく、メンタル面、団結力も重視し、一体感のある戦いで接戦を勝ち抜いた。そのリーダーは今回、U-18日本代表のトレーニング、ピッチ外での振る舞いでもチームの先頭に立って行動。冨樫剛一監督の「トレーニングを見ていて、彼がキャプテンになるような人物だと思ったので」という信頼を得てSBSカップ初戦のキャプテンを務めた。

 徳永は、「自分が(キャプテンを)任されても良い準備をしようとずっと思っていたので、選んで頂いたことにしっかり責任を持って、自分にしかできないリーダーシップの取り方というのをこれからも出して優勝に繋げたいです」と力を込める。試合中も一際声を発し、コミュニケーションの数を増加。協力しながら一つになったチームは冷静に、貪欲に、白星を目指して勝ち切った。

 U-18日本代表には、「自分の枠を広げる」というテーマがあった。徳永もそのテーマにチャレンジ。所属する前橋育英ではボランチとしてバランスを取り、ゲームをコントロールしてインターハイ優勝を果たした。今回は4-3-3のインサイドハーフとしてプレー。前への意識を強めてスペースへ飛び出すなど積極的に前線の選手と絡み、スルーパスでチャンスも演出した。

 U-18日本代表は急造のチームではあるものの、「一人ひとりが考えてチームのために枠を増やせたことが連動性に繋がったと思います」と徳永。個人としては、特長であるバランス力や収める力を発揮し、前への係わりの部分など枠を広げたが、得点に絡めなかったことを反省する。

 勝って、また反省。「『勝って兜の緒を締めよ』という言葉があるように、今日勝ったからこその反省をして次の試合に臨めるので、1日しかないですけれども、一人ひとりがしっかりと振り返って明日の試合に臨めるようにしたいです」。満足することなく高みを目指し続けて高校日本一に輝いたキャプテンは、代表チームを前進させるリーダーへ。特別な向上心の持ち主が、チームメートと団結、また切磋琢磨し、SBSカップも優勝して終える。

(取材・文 吉田太郎)

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