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U-19日本代表スペイン遠征メンバー発表 冨樫剛一監督オンライン会見要旨

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冨樫剛一監督 ※写真は過去のもの

 日本サッカー協会(JFA)は2日、オンラインで記者会見を行った。今月13日から23日まで行われるスペイン遠征に臨むU-19日本代表メンバー22名が発表され、会見では冨樫剛一監督が質疑に答えた。

 U-19日本代表は、17日にU-19スロバキア代表、19日にはU-18スペイン代表、21日にはU-19フランス代表と対戦する。来年5月にはU-20W杯が開幕。同代表は3月にU-20W杯最終予選も兼ねるU20アジア杯が控えている。

 冨樫監督は直前にU-18日本代表の指揮官として、3日から13日にかけてスペインで遠征を行う。終了後にはそのままU-19日本代表と合流する。遠征終了後の22日から12月4日まではDF中野伸哉(鳥栖)、MF松木玖生(FC東京)、DF松田隼風(水戸)、DF田中隼人(柏)、DF高井幸大(川崎F U-18)、MF佐野航大(岡山)、MF甲田英將(名古屋)、MF福井太智(鳥栖U-18)、MF北野颯太(C大阪)、FW熊田直紀(FC東京U-18)の10名とともに、カタールW杯の日本代表トレーニングパートナーとして帯同する。

冨樫剛一監督
「先日、U-20W杯最終予選(U20アジア杯)の抽選会も終わった。前回優勝チームのサウジアラビア、中国、キルギスと、4チームで予選を戦うことになった。そのため、もう時間が限られている中、U-19、U-18とスペインに行って、本当に強い相手としっかり戦って、より自分たちのレベルの基準をしっかり持って成長してくるということで、この1か月をチャレンジしていきたい」

─3月のU20アジア杯組分けが決まった中での遠征。今回のテーマとは。
「特にU-19のほうは、スロバキア、フランスと、U-20W杯に出場する国と戦える。まさしく世界基準にチャレンジしていく。そのチームにわれわれがいまの時点でどれくらい戦えるのか。本当にたくさんのチャレンジをしていきたい。私がU-18も兼務しているということで、また新しい力のある選手たちを、より発掘していこうというトライも同時にある」

─前回のU20アジア杯予選(一次予選)からメンバーが変わった。狙いは?
「いろんな国内の大会も考えながら、一次予選からさらに1チームが進化していくためにはどういう選手が必要か、また一次予選で苦しんだ戦いの中で、どういう選手でなければタフに戦っていけないのかというところで、またチャンスをもらえた選手もいるのではないかなと考えている」

中井卓大レアル・マドリー(カスティージャ)で試合に絡めない中、今回招集された意図は?
「彼が置かれている状況というのは、ゲームに出るというところで非常に難しいと思う。スペインのBチームに19歳の選手がいて、なかなかゲームに携わることが難しいということはもちろん理解している。ただ、コンディション面でゲームに出ていないとやはり相当な差が出てくる。ずっと悩みながら、ただ彼の力をずっと注視してきた。今回スペインという場所に行くこともある。近くにいる中で彼の状態を見たいというところで、今回チームに招集することになった。」

─今回22名が招集された。今後追加される可能性はあるか。
「追加される可能性もあると思う」

─直前までスペインにいるU-18日本代表からの追加もあり得るか。
「いろいろとチームとのやりとりの中で、追加できるかどうかというところ」

─カタールW杯の日本代表トレーニングパートナー選出の経緯とは。
「あくまでトレーニングパートナーではあるので、A代表がW杯のゲームに向けて、私たちの選手たちを使ってより良い状態を作るために、どんな選手が必要かというところで選ばれてきた10名。もしかしたらそこに行ってもおかしくない選手たちも実際にいる。もしかしたらまだ力が足りていない選手たちも、そこには入っているのかとも思う。一番大事なのは、A代表の次戦に向けてのトレーニングに、私たちがしっかりとトレーニングになるようなプレーをすること。また、そこに行く選手たちは、より良い景色を見られる。それを力にしてほしい。選ばれなかった選手は、むしろそっちのほうがパワーが出るんじゃないかという期待感はある」

─選考は冨樫監督が行ったのか。
「いろいろな状況を見ながら、皆さんと決めていった」

─公式戦が残っている選手もいるが、クラブと話し合って今回得られる経験値を優先したのか。
「このU-19のスペイン遠征のメンバーを決めるにあたっても、いろいろな考えを持って選手を決めていった。もちろん、呼べなかった選手もいる。いろいろな事情がある中で、まず自分たちは本当にすぐ最終予選なので、なにか経験を積んで帰ってこれるような選手たちというところで選んでいった」

─トレーニングパートナーの選手たちに、どういう刺激を得てほしいか。
「彼らには、サッカーで生きていく人間たちの本気度がどれくらいなのかというところを、もう一回知ってほしい。自分たちが本気だと思っていたものが、A代表に行ったらまったく足りていない、あるいは世界のサッカーを観たらまったく別物だということに、いち早く気づいてほしい。そこの基準に早く自分たちが行けるように、努力してほしいと考えている」

─冨樫監督はU-18、U-19日本代表と遠征が続くが、終了後もフル代表にそのまま帯同するのか。
「基本的には12月4日までになる。最初のU-18からずっと向こうにいて、U-19の選手たちとまた合流して、そして彼らと帰ってくるようになる」

─毎年12月に各代表のスケジュールが発表される。12月、1月、2月のスケジュールは?
「年が明けて、彼らはJリーグが各チームで始まる。だいたい6週から7週前にトレーニングが始まるとして、1月半ばにはスタートしているはず。彼らがレギュラー争いをしたり、チームに組み込まれていく中で、私たちの活動がどれくらい取れるかということを、本当に現時点ではまったく決定できないものもたくさんある。もしかしたら本当に最終予選の前から集まって、最悪そのまま行くような形になるかもしれないということを踏まえたら、この11月のスペイン遠征というのは、本当にたくさんのものを持ち帰らなければいけないと考えている」

─監督としては各チームとの兼ね合いが難しい。
「それはもう最初からわかっていること。致し方ない部分もある。ただ、一人ひとりのサッカー選手としてのトライが、間違いなくチームのためになる。チームでポジションをしっかりと争ってほしい」

─最終予選の組み合わせが決定した。改めてどう捉えているか。
「ほかの仕事をしている間に、webで(抽選結果を)見ていて、一人でおなかを痛めていた(笑)。どこに入ってももちろん厳しいことはわかっていた。自分たちは第2ポッドであるので、絶対に厳しくなると思っていた。ただ、私たちがやらなければいけないことは、最終予選をしっかり突破することプラス、世界の中で戦っていくところで言ったら、どこのチームと戦ってもしっかり勝っていかなければならない。そういうのは、一次予選が終わった時点で選手たちも覚悟を決めている顔をしていたので、私たちスタッフも“強い気持ち”を持って臨もうと考えていました」

─借りのあるサウジアラビアと一緒になった。
「サウジアラビアとも一緒ですし、やはり(U-20W杯出場)決定戦の相手はライバル(韓国)と当たるのかなと思っている。1位になろうが2位になろうが」

─前の招集以降どういう振る舞いをするのかがこの年代は大事。成長が見られた部分はあるか。
「Jリーグの試合に出始めている選手たちの成長度合は、すごく大きいと感じている。昇降格がある中で試合に出るというのは、かなりの責任感を伴うゲームをしている。本当にいいチャレンジをしたり、本当にひとつのミスで試合に勝てないその重みを知ることで、サッカー用語でいう“軽いプレー”がどんどんプロらしくなっていっているのではないかと感じて見ている。今回選ばれていない選手も、自分の頭の中にはしっかり入っている。中東のチームとは一次予選で当たれて、いろんな経験をさせてもらってよかった。そのへんの戦術的要素も私たちで増やさないといけない。そこに選手たちがどれくらい反応していけるのかというのは、今回のスペイン遠征でトライをしていきたい」

─今回参加できない選手は代わりにヒリヒリした経験をする。遠征した選手とどう融合を図るか。
「今回スペインを選んだ理由として、ここから遠征をした後、少ない時間といっても彼らはオフを取らなければいけない状態になる。オフが明けて、1月の中旬から各チームでスタートしていくというところでいったら、そこからコンディションを含めて、キャンプの中でしっかりと自分のプレー、あるいは地位を確保していく選手でないと最終予選には間に合わない。今回のスペイン遠征はある意味、一次予選のプラスアルファ。そして世界基準を味わうというところ。最終予選の前は、本当にコンディションがしっかり整った選手でないと戦えないと、ちょっと分けて考えてはいる」

─18歳、19歳の選手がどの国にも1人、2人はいて、重要な役割を担っている。その後のことも含めてどう考えているか。
「U-19のトレーニングキャンプでは、世界の同年代の選手がこれだけ活躍しているよと伝えている。ムシアラ(バイエルン)もペドリ(バルセロナ)もそう。彼らはもうどんなところで戦っているのか。自分たちはどこで戦っているのか。世界を認識して、意識してもらう。また、前回のフランス遠征で彼らは本当にたくさんのものを感じた。実際に海外に移籍先を求めた選手もいる。そういうところでいったら、この年代の選手がしっかりと成長していかなければいけない。だからこそ、U-20W杯にはしっかりと出なければいけない。そこのU-20で勝つという強者のメンタリティを持つ。U-20の大会なので、U-18、19の選手がどれくらい本大会に食い込んでいけるのか。それがその先、日本の成績につながっていく。あるいは世界に、日本がサッカーの強い国と知られるところにつながってくる」

─冨樫監督から見て、スペイン遠征は基準を見出しやすいか。アジア予選を控えて、世界の強豪と戦うことはモチベーション面で混同しないか。
「どこに行ってどこと戦うのかは、本当にいろんな可能性を探って今回選んだ。なぜなら、特にU-20W杯に出るチームと戦える。ヨーロッパ予選を現地で観たとき、スロバキアも本当にいいチームだった。フランスはちょっと個々のレベルが違いすぎるのではないかというくらい。そういうところにチャレンジすることで、自分たちでより強い覚悟を持って戦う準備をしてほしい。それがこの遠征の目的になる。なぜそうしたかというと、やはりここから彼らはオフに入ってしまう。結局どこに行っても、もう一回オフから体を起こさなければいけない。できれば、本当に強いチームにしっかりやられるような戦いができるような場所に行って、そして一回整理をして体を起こして、最終予選にはより強い覚悟を持って臨めるようにというところで今回の遠征を選んだ」

─アジアとの前に世界と戦うことは気にすることではないのか。
「オフがなければ、リアリティのあるアジアの近いところでもよかった。しかしオフになってしまうので、本当に深い眠りから起きてくる状態になる。ヨーロッパ遠征に行こうがアジアに行こうが、もしかしたら忘れて起きてくるのかもしれないとも思う」

─中井のプレー面での評価や印象は。
「本来であれば、直接行って見たいというところ。日本サッカー協会には向こうに駐在している者もいる。しっかりと本人ともコミュニケーションを取りながら、映像を取り寄せて確認しているところ。彼が(年代別代表に)選ばれたのは14、15歳くらいのときだった。それからかなりの年月が経った。彼のいる環境はやはりすばらしいところだと思う。そこから19になって、戦術的な要素も増えてきている。そうなったとき、彼の戦術的なものがどれくらいチームに入ってこれるのか期待をしている」

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