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W杯デビュー戦はミスマッチに苦しんだ久保建英「サッカーのフォーメーションってこういう時のためにあるんだなと」

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日本代表MF久保建英(ソシエダ)

[11.23 カタールW杯E組第1節 日本 2-1 ドイツ ドーハ/ハリファ]

 ドイツ相手に劇的な逆転勝利を収めた日本代表だったが、MF久保建英(ソシエダ)はシステム変更のあおりを受ける形でハーフタイムに途中交代し、不完全燃焼のワールドカップデビューとなった。それでも試合後は理路整然と自身のプレーを振り返り、「ワールドカップなんて毎試合ヒーローが変わるし、前半は僕も含めて本当に苦戦したのは事実なので、交代はしょうがない」と断言。すでに4日後のコスタリカ戦に照準を合わせていた。

 所属先のソシエダでレギュラーポジションを掴み、9月のドイツ遠征から左サイドハーフのファーストチョイスに上り詰めた久保。指揮官の信頼は揺らぐことなく、カタールW杯初戦でもスターティングメンバーに抜擢されたが、強度の高いドイツに圧倒されるまま、ほとんど存在感を発揮することができなかった。

 原因となったのは相手の布陣とのミスマッチだ。日本は9月のドイツ遠征から4-2-3-1のシステムを採用しているが、ドイツは攻撃時3-2-5のような陣形で押し上げてきたため、4バックだけで守ることが難しく、かといって両サイドハーフが下がって6枚で守ると、ボールを奪ってもいっこうに押し返せないというジレンマを突きつけられていた。

 久保が苦慮したのは右サイドハーフのMFセルジュ・ニャブリと、トップ下スタートながら右に流れてくるMFトーマス・ミュラーへの対応。DF長友佑都(FC東京)との縦関係で追いかけるには双方ともに移動距離が長すぎた。

「考える暇もなかったし、逆サイドにサイドチェンジされた後に、ふと後ろを見るとやっぱりいつも1枚余っていて、僕が下がらなきゃいけないんだろうなと思いましたけど、ミュラー選手が落ちてくると(長友と)どっちかマークをつかないといけないし、逆に落ちてこないで前に入ってくるなら、外のニャブリ選手が空くので、そこに長友選手がつかないといけない。僕はピッチでプレーしていて、どこがミスマッチなのかわからなかったけど、確実に僕たちのところは余っていた。そのぶん僕が後ろに下がらないといけなくて、30分ぐらいからはキツくて、前にも行けなくなって、一回前に行かなきゃいけないところでリュディガー選手相手にキープして取られちゃいましたけど、あそこは本来だったら前に蹴っ飛ばして行かないといけないというのもあった」

 自らが関わった左サイドのミスマッチを淡々と振り返った久保は、自身が下がった後半の3-4-2-1システムへの変更にも触れつつ、「前半は僕たちのやり方と相手のやり方がマッチしてなかったのかなと思う。逆に後半は相手も僕たちの5バックに面食らっていたと思うし、あらためてサッカーのフォーメーションってこういう時のためにあるんだなと思いました」と話した。

 こうした事態に対応できなかった要因の一つとしては、そもそも相手の出方に想定外があったという。

「トップ下のミュラー選手がそこまで僕のサイドで落ちてくるとは思っていなかった。そこがまず想定外だった。また僕たちの予想では(右サイドバックに)ケーラー選手が出ると予想していて、もしくはホフマン選手だった。すると大外からズーレ選手が出てきた。センターバックなのでサイドバックよりも器用というか、センターバックのボールの持ち方でサイドバックに入ってくるので、そうやって中を見せられると中を切らなきゃいけない。それで外のミュラー選手に通されて、2度追いになって、2度追いしてもまた戻されてというふうに本当にプレスがハマらなくて、すごくキツかった」

 なかなかピッチ内では修正する方法が思いつかず、「僕が見る限りではどこをどうしたらいいのかなというのが難しかった」と久保。前半8分にカウンターからFW前田大然がゴールに沈め、オフサイドに終わった場面までは手応えがあったようだが、「途中からやっぱ引くしかなくなって、奪ってからもう行けなくなって、繋げなくなってというふうに悪循環だった。どこかで何かを変えないといけないかなと思っていた」。その修正はハーフタイムに行われたが、久保はそこでお役御免となった。

 こうした戦況を踏まえ、久保は「前半を戦ってみてやっぱり格の差を感じて、まだ4-2-3-1で戦うのは早いのかなって思ったりとかすることもあった」と率直に語った。一方で「でもカウンターもできていた部分もあったのでそこは余計にもどかしいというか、完膚なきまでにできなかったらあれですけど、カウンターで何とかチャンスにできた部分もあったっていうのを考えると、もうちょっと個人的にできたんじゃないかなと思うところもある」と自身にも矢印を向けていた。

 ただ、そうした見極め方は相手がドイツだったからこそ。4日後のコスタリカ戦ではまた違う戦いが想定され、12月1日に控える第二の母国・スペイン戦も含め、久保が活きる場面は大いにありそうだ。「次のコスタリカ戦はここまでボールを持たれることはないと思うし、また次のスペインもここまでフィジカルがあるわけではない。そういった意味では戦い方もまた変わってくると思いますし、その戦い方に順応していくのが大事」。W杯デビュー戦は不完全燃焼に終わったものの、久保建英はすでに次の目標を見据えていた。

(取材・文 竹内達也)
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