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ルヴァン杯で“久保超え”FC東京最年少先発記録…U-17日本代表“背番号10”佐藤龍之介がトップチームで受けた刺激

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MF佐藤龍之介(FC東京U-18) ※この日は全員が仮のユニフォームで、佐藤は11番着用

 プロの舞台に上がった16歳が、U-17日本代表の背番号10を着ける。MF佐藤龍之介(FC東京U-18)は18日から始まったアルジェリア遠征メンバー入り。今月8日のルヴァン杯でトップチームデビューを果たした若武者は「この遠征では、自分のゴールやアシストでチームを勝利に導いて、チームの中心となれるような活躍をしていきたい」と意気込んだ。

 FC東京で2種登録をされていた佐藤は今月8日、16歳4か月20日でルヴァン杯第1節のスタメン入りを果たす。森本貴幸(15歳10か月20日)、久保建英(15歳10か月29日)に次ぐ、大会史上3番目の年少出場記録となり、“トップチーム先発出場”という点では久保の16歳9か月3日を抜くクラブ最年少記録となった。

 プレシーズンからキャンプにも参加し、ルヴァン杯にも出場。プロの舞台に上がったことで見える景色は変わった。だが、慢心はない。「強度という面では(年代別代表は)プロよりは下にはなる。多少は余裕を持ってプレーできている。だけど、トップでやることも、ここでやることも、チーム(FC東京U-18)でやることも変わりはない。そういうところはブレないで謙虚にやって、自分の長所はどんどんアピールしていきたい」。高校1年生はまっすぐな目で自身のサッカー観を語る。

 U-17日本代表は18日の夜にアルジェリア遠征に向けて日本を発った。同日昼には流通経済大と40分×2試合の練習試合を実施。佐藤は2試合目に出場し、4-4-2のボランチでMF矢田龍之介(清水ユース)とコンビを組む。互いにバランスを取りながら、持ち味のドリブル突破で局面を打開。また、「自分の武器にしていきたい」と語るプレースキッカーも任された。20分には左CKから右足キックを蹴り、得点に結びつけた。

 主戦場はインサイドハーフで「もう少し前目が一番やりたい場所ではある」とも語りつつ、ボランチもFC東京U-18でプレーしているため「慣れてはいる」。矢田とのコンビにも「いい感じに自分が前目に入ったり、細かいパス交換とか、そういう面ではいい関係ができていた」と手応えを口にした。

 FC東京には、日本代表DF長友佑都をはじめ、年代別代表も多く揃う。トップチームに加わることで、人間的な刺激も受けているようだ。長友には「W杯の話をしてくださって、特別な場所と言っていた。サッカー選手である以上は目指さないといけないとおっしゃっていましたし、自分も見習うべきところしかない。メンタルのコントロールの部分だったり、常に向上心を持っている長友選手を肌で感じて、とても刺激になりました」と影響を語る。

 また、この一年間をFC東京U-18でともに過ごしたU-20日本代表FW熊田直紀のU20アジア杯での活躍にも触れる。「去年ユースでやらせてもらっていて、自分が一緒にプレーしている面も、外から見るとすごく頼もしいと改めて感じた。熊田選手とまたプレーしたいと強く思いました」。熊田はU20アジア杯で5得点を奪い、大会得点王となった。「オフはとても優しくて、面倒見がいい先輩。でもピッチでは対等に要求し合える関係だと思う。熊田選手にリスペクトを持ちながら、自分も意思を伝えられる関係が築けているかなと思います」と今後の再会に期待を寄せた。

 憧れの先輩とはカテゴリーはひとつ下になるが、佐藤もU-17日本代表として6月にU17アジア杯に臨む。同大会で準決勝まで勝ち進めば、11月のU-17ワールドカップ出場が決まる。佐藤は「W杯で最低でもベスト4を目標にしている」と目を光らせる。「アジア杯までには時間がない。今回の遠征から自分がこのチームの中心になって、誰もが認められるような存在になる。仲間からも信頼されるような立場となって、チームとしても、個人としても成長する。6月に向けて頑張りたいと思います」。背番号10と強い責任感を背負い、アルジェリア遠征での成長を誓った。

(取材・文 石川祐介)

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