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U-22代表候補に招集された札幌FW中島大嘉、独特表現で成長説く「“地球製中島大嘉”になるには“リラックス大嘉”に」

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FW中島大嘉(札幌)

 約一年ぶりにパリ五輪世代の代表活動に名を連ねた。FW中島大嘉(札幌)は「とりあえず自分ががんばろうっていう気持ちでやっていました」とこの一年間を振り返る。明るいキャラクターと独特の表現は健在。24日の候補合宿2日目が終了すると、10分間の囲み取材で“リラックス大嘉”“スーパー大嘉”“地球製中島大嘉”といったフレーズが飛び出した。

 昨年はシーズン序盤に6得点を挙げ、大岩剛監督が目指すパリ五輪世代のU-21日本代表入り。昨年6月のU23アジア杯にも出場して1得点を記録した。だが、その後はクラブでの出場機会を失い、代表からも遠ざかる。「チームで試合にも出ていなかったですし、それは呼ばれないだろうなと思っていました」。現状を飲み込みつつ研鑽を続け、約一年ぶりに今回の代表候補合宿に招集された。

 今回の候補合宿は選手層の底上げという意味合いが強い。そのため大岩監督体制の常連メンバーは少なく、28人中18人が初招集となった。中島にとっても初対面がほとんど。「知っている人は(佐藤)恵允さん、タツ(櫻井辰徳)、(加藤)聖さんとかで、きょう色んな人と仲良くなれたかな。タファさん(長澤シヴァタファリ)はめっちゃおもろくて仲良しになった」とマイペースに笑みをこぼす。

 再び代表定着を目指す上で、メンタル面の改善が功を奏したようだ。中島はルヴァン杯第2節・ジュビロ磐田戦をターニングポイントに挙げる。「それまではすごく鼻息荒く、ふがふが言いながら気合い入れまくって試合をしていた。だけどちょっとリラックスして最近やっていたら、わりと落ち着いていいプレーができている」と具体的なやり方を語った。

 その状態は本人曰く“リラックス大嘉”。「スーパーサイヤ人になるみたいにウワアアアアって力めば“スーパー大嘉”になれると思っていた。だけどそうじゃない。最近は“リラックス大嘉”でいこうと思ってやっています」。大先輩のMF小野伸二からサッカーを楽しむ姿勢を学んだ。「そういう気持ちを持ってやってみれば、悪くない感触はある」と手応えを掴んだようだ。

 昨シーズンには高身長と高い身体能力を兼ね備えることで“和製ハーランド”とも称されていたが“地球製中島大嘉”と自称していた。“リラックス大嘉”との両立は可能か問われると「“地球製中島大嘉”になるには“リラックス大嘉”に。“地球製中島大嘉”は目標で“リラックス大嘉”は方法。リラックスして自然体でやればいいんやなと思いました」と説明した。

 今年までに成長した点は「しっかり周りを見て判断して、より確率の高い選択肢を選択する」ことと語る。その上で「前へのスプリントは自分はすごく強みがあるんですけど、それを後ろの方向にも出せるように」と守備の切り替えを課題に挙げた。

 24年夏のパリ五輪まで残り約一年。中島は自身に言い聞かせるように代表定着を誓う。

「あと一年、全然余裕だなと。全然巻き返せる。自分の計画では夏までに成長して、夏以降で継続して試合に出てゴールを重ねて、3つの大会で得点王争いに絡めれば。そういう選手が呼ばれないことはない」

 パリ五輪でエースになる自覚があるか問われると「じゃないと、自分の思い描いている中島大嘉には歩んでいけないと思う」と自身の言動に胸を張る。「できなかったらどうしようとかあんまり考えずに、いまをしっかり生きていきたいなと思っています」。ビッグマウスには意味がある。しっかりと一歩を踏みしめながら、目標に向かっているようだ。

(取材・文 石川祐介)

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