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FA杯準決勝を現地視察していた森保監督、120分間で見せた三笘の変化に「レベルアップを見ることができた」

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オンライン取材に応じた森保一監督

 日本代表森保一監督が26日、欧州視察先のスイスから報道陣のオンライン取材に応じ、FAカップ準決勝のブライトンマンチェスター・ユナイテッド戦を現地で視察したと明かした。ブライトンが0-0で迎えたPK戦に敗れた一戦だが、MF三笘薫は120分間フル出場。指揮官は「彼がレベルアップしたところを見ることができた」と目を見張った。

 FAカップ準決勝は23日にウェンブリー・スタジアムで開催。左ウイングで先発出場した三笘は対面のDFアーロン・ワン・ビサカに苦しめられる場面もあったものの、0-0の時間が続くタフなせめぎ合いの中でピッチに立ち続け、最終盤には華麗なダブルタッチからのワンツーでビッグチャンスを作り出すなど、サッカーの聖地で大きな存在感を放っていた。

 名波浩コーチとともに試合を現地視察したという森保監督は「三笘が突破口ですごくチャンスを作れていたと思うし、本人の仕掛ける気持ちと、チームの三笘を活かすところの個の力と、個の力を活かすチーム戦術という点で機能していた。攻撃だけでなく守備も上下動しながら戦えるところを見せてもらった」と奮闘ぶりを称えた。その上で三笘が見せた試合中の変化にも着目した。

「良かったと思うのは前半に薫がいい攻撃を仕掛けていた中、マンUがだんだん対応してきて、後半は封じ込められ、思うようにはない展開になっていた中、そこから個人と周りを活かしてもう一回ギアが上がってチャンスメイクできるようになった。そこに彼がレベルアップしたところを見ることができた。相手もマンUで、相手から止められることもあったが、その時に何ができるかでさらに上回っていく。120分間の中でキツかったと思うけど、最後に決定機を作り出すなどの存在感は大きかったと思う」

 また森保監督はロベルト・デ・ゼルビ監督が構築するブライトンのビルドアップについて「勇気を持って自陣からビルドアップするということをビッグマッチでも恐れず、マイボールを大切にしてチャンスを作っていくチャレンジをしていると思った」と賞賛。加えて「ビルドアップだけでなく背後を取れるところでは背後を取っていた。ビルドアップにとらわれず、ゴールに向かっていき、相手の背後を取れる時は見逃さずアクションを起こしていくところは勉強になった」と振り返った。

 一方でブライトン戦術の日本代表チームへの組み込みには「やっている形は素晴らしいし、ぜひトライしたいところはあるが、限られたトレーニング回数でこれをどこまでできるかなというところはいろいろと考えさせられるところがあった」と慎重な姿勢。「われわれとしてはマイボールを大切にすることを忘れずにという点で見習っていきたい」と述べるにとどめた。

 それでも3月シリーズで日本代表がトライしていたSBが内側にポジショニングを取る戦術については刺激も受けた様子。「ブライトンも薫であったりウインガーの選手が幅を取って、サイドバックが内側でビルドアップに絡んで、前線まで駆け上がっていくことが印象に残っていたが、相手から研究され始めてからは違う形で薫がインサイドに行ったり、SBがオーバーラップしていくという形もあった。オーバーラップとインナーラップと相手の状況を見て駆け引きして柔軟に戦って、柔軟に状況を見て対応力を持って戦っていくのが重要だなと感じている。そのためのベース作りをしっかりしていきたい」と振り返った。

 さらに日本代表における三笘の活かし方についても言及。「彼にいい状態でボールを受けられるようにしてもらえるかは大切だと思う」と述べつつ、「これから彼に対するマークは親善試合、公式戦でも非常に彼の良さを消そうとしてくると思うので、逆に彼にマークが行った時に周りを活かせるようにということで、彼を活かすというオンザボールの部分と、彼を囮にして他の人を活かすというところを両方できるようにチームでもやっていければと思う」とコメント。「彼がずっとこのまま成長してくれて、3月の代表戦のように試合に出続けてもらえればいいと思うが、そうではない時もあると思う。日本代表には他にもそれぞれの強みがあって、いい選手が揃っているので、自分が戦術だとそれぞれの選手が言えるくらい、まずはレベルアップしてもらいたいと思う。それぞれの個の良さを活かしながらチームとしてつながりを持って、より相手に嫌がられる攻撃を仕掛けられるようにしていきたい」と他の選手たちの奮起も求めた。

(取材・文 竹内達也)

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