アジアでもワイルド&スピーディ、MF川村楽人(東京Vユース)が狙う新たなヒーローの座
小気味良い加速で魅せるドリブルを最大の武器とするアタッカーは、今季を前に育成の名門・東京Vユースで頭角を現すと、U-17日本代表にも大抜擢。候補合宿での猛アピールが実る形でAFC U17アジアカップのメンバー入りも果たした。
ただし、MF川村楽人はメンバーに入っただけで満足するような雰囲気はない。国内で行われた直前合宿でも得意の高速ドリブルでサイドからチャンスを量産。「突破するまではできるので」と胸を張ったように、森山佳郎監督に「俺を使え」と言わんばかりのプレーを見せてきた。
いきなりのスタメン確保とまではいかなかったが、迎えたU17アジアカップの初戦の後半15分、最初の交代カードとして森山監督が選んだのは川村だった。国際舞台の経験値は乏しいものの、物怖じする雰囲気は皆無。
「緊張よりもワクワクが強くて、硬くなる感じはなかった」
早速ドリブルで仕掛けたが、ガムシャラに行ったというよりもある種の計算も立っていた。
「(吉永)夢希はクロスで持ち味を出していたので、右利きの自分はまずカットインしてやろうと思っていた」
それまで左MFに入っていた吉永夢希(神村学園高)は左足のクロスボールを特長としており、そこからスイッチされた自分に求められるプレーのイメージは持っていた。普段の練習から意識しているという縦に行くプレーとカットインの状況に応じた使い分けを意識しつつ、果敢に仕掛けた。
国際経験の浅い選手がしばしば苦しむ東南アジアならではの天然芝の感触も苦にする様子はほとんどなかった。
「自分のサイドは芝がハゲているところも多かったので、小刻みなタッチの選手だと難しいのかもだけど、自分は細かいタッチをするような選手じゃないので」
良い意味でワイルド、繊細さより大胆さを売りとする川村らしい解釈で、変わるバウンドもフェイントの一つとばかりに気にせずプレーしてみせた。
ダイナミックなドリブルフォームとそれを活かした推進力、止まった状態からの急加速で相手を置き去りにするところなど、日本代表FW三笘薫を彷彿とさせるという声もあるが、実際に本人も意識する存在だと言う。
「自分にとって三笘選手はあこがれの選手の一人ですし、動画もよく観ていて、自分の中でプレーを採り入れさせてもらってきた。最近の三笘選手はカットインが増えていると思うんですえけど、それもマネさせてもらっている」(川村)
初めて日本代表として国際舞台に出場を果たしたとはいえ、ここで満足するような感覚はない。得点もなければ、アシストもなく、チームは引き分けに終わったのだから、それも当然だ。ただ、暗くなるようなこともない。
「引き分けになっちゃいましたけど、ポジティブにやっていけばいいと思っている。今はもうみんなで次に向かっているし、それでいいと思うし、次は絶対に結果を出します」(川村)
森山監督は「今はベンチの選手の中から大会中にヒーローになって、スタメンを奪い取るような選手が出てきてほしい」と期待を込めて話す。川村が狙うのも、当然そこだ。
「守備が課題なのも分かってるので、そこもしっかりやっていくつもり。最初はベンチでしたけど、大会で大きく結果を残してスタメンで出られるようになりたい」
ワイルドな魅力を放つ快足ドリブラーがアジアの難敵を切り裂き、ゴールネットを揺らせるか。爆発の日を楽しみに待ちたい。
(取材・文 川端暁彦)
▼関連リンク
AFC U17アジアカップ タイ2023特設ページ
ただし、MF川村楽人はメンバーに入っただけで満足するような雰囲気はない。国内で行われた直前合宿でも得意の高速ドリブルでサイドからチャンスを量産。「突破するまではできるので」と胸を張ったように、森山佳郎監督に「俺を使え」と言わんばかりのプレーを見せてきた。
いきなりのスタメン確保とまではいかなかったが、迎えたU17アジアカップの初戦の後半15分、最初の交代カードとして森山監督が選んだのは川村だった。国際舞台の経験値は乏しいものの、物怖じする雰囲気は皆無。
「緊張よりもワクワクが強くて、硬くなる感じはなかった」
早速ドリブルで仕掛けたが、ガムシャラに行ったというよりもある種の計算も立っていた。
「(吉永)夢希はクロスで持ち味を出していたので、右利きの自分はまずカットインしてやろうと思っていた」
それまで左MFに入っていた吉永夢希(神村学園高)は左足のクロスボールを特長としており、そこからスイッチされた自分に求められるプレーのイメージは持っていた。普段の練習から意識しているという縦に行くプレーとカットインの状況に応じた使い分けを意識しつつ、果敢に仕掛けた。
国際経験の浅い選手がしばしば苦しむ東南アジアならではの天然芝の感触も苦にする様子はほとんどなかった。
「自分のサイドは芝がハゲているところも多かったので、小刻みなタッチの選手だと難しいのかもだけど、自分は細かいタッチをするような選手じゃないので」
良い意味でワイルド、繊細さより大胆さを売りとする川村らしい解釈で、変わるバウンドもフェイントの一つとばかりに気にせずプレーしてみせた。
ダイナミックなドリブルフォームとそれを活かした推進力、止まった状態からの急加速で相手を置き去りにするところなど、日本代表FW三笘薫を彷彿とさせるという声もあるが、実際に本人も意識する存在だと言う。
「自分にとって三笘選手はあこがれの選手の一人ですし、動画もよく観ていて、自分の中でプレーを採り入れさせてもらってきた。最近の三笘選手はカットインが増えていると思うんですえけど、それもマネさせてもらっている」(川村)
初めて日本代表として国際舞台に出場を果たしたとはいえ、ここで満足するような感覚はない。得点もなければ、アシストもなく、チームは引き分けに終わったのだから、それも当然だ。ただ、暗くなるようなこともない。
「引き分けになっちゃいましたけど、ポジティブにやっていけばいいと思っている。今はもうみんなで次に向かっているし、それでいいと思うし、次は絶対に結果を出します」(川村)
森山監督は「今はベンチの選手の中から大会中にヒーローになって、スタメンを奪い取るような選手が出てきてほしい」と期待を込めて話す。川村が狙うのも、当然そこだ。
「守備が課題なのも分かってるので、そこもしっかりやっていくつもり。最初はベンチでしたけど、大会で大きく結果を残してスタメンで出られるようになりたい」
ワイルドな魅力を放つ快足ドリブラーがアジアの難敵を切り裂き、ゴールネットを揺らせるか。爆発の日を楽しみに待ちたい。
(取材・文 川端暁彦)
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