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交代出場で激流を制す。「パスのアイディアは負けない」中島洋太朗(広島ユース)が存在感!

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後半29分、投入直後のU-17日本代表MF中島洋太朗(広島ユース)が右足シュートを決め、6-3

[6.23 AFC U17アジアカップGS第3節 U-17日本 8-4 U-17インド]

 突然の嵐に見舞われた船へと乗り込んでいくようなシチュエーションだった。

 AFC U17アジアカップ第3節・インド戦。U-17日本代表は3-0とリードして折り返し、楽勝ムードも漂う流れとなっていたが、ここから試合は思わぬ激流に飲み込まれていた。カウンターで個性を活かすインドに対して次々に失点。後半25分までに5-3と激しく動いており、後半のスコアだけなら負けているという状況である。そこでMF中島洋太朗(広島ユース)はピッチに立った。

「向こうも前に人数をかけてきていて、点を取ったり取られたりで、良いとは言えない状況で入った。流れを変えるという気持ち、日本のペースに持って行くぞという気持ちで入った」

 与えられたポジションは左MF。本来は中央のMFだけに少し普段と違うタスクだったが、指揮官の指示は「サイドに入るけど、ボールを持ったらボランチ3枚的に振る舞え」というもの。つまり、二人のボランチを助けてパスを引き出して落ち着きどころを作りつつ、「前にも絡んでいく」プレーを求められた。

 そしてファーストタッチでいきなりの仕事をこなす。左サイドを破って繋ぎ、ペナルティエリア中央でMF望月耕平(横浜FMユース)が何とかキープした状況でその斜め後方にポジションを取ると、落とされたボールを「ファーストタッチだったので思い切って蹴ろうと思って」狙ったボールは「イメージ通り」の弾道を描いてゴールネットを鮮やかに揺らした。

「たまたま自分のところにこぼれてきた形」と謙遜したが、実際のところは左MFのポジションから状況を観て「その位置まで入れていたこと」が結果に結び付いた形だった。

 そしてもう一つの仕事は後半アディショナルタイムの8点目。

「ボールを持ったときからパスのイメージはあって、そこへ杉浦駿吾(名古屋U-18)が動いてくれたので出した」

 得意のスルーパスがDFの間を切り裂き、杉浦がゴールネットを揺らし、今大会2度目のアシストとなった。

 1度目のアシストも第2戦でMF 佐藤龍之介(FC東京U-18)のゴールへと繋がったスルーパス。スペースを見付けて射抜くパスの感覚は特別なものがあり、「自分の得意なプレー」と本人も胸を張る。

「パスのアイディアは負けないと思うし、良い形でボールを受ければ出せる自信はある。ああいう形で動き出してくれたら、良い形を作れると思うし、もっと厳しいゲーム展開とかでもああいったプレーをもっと出せるようになれば、自分の武器になると思う」

 次は準々決勝。U-17W杯の出場権が懸かる大会の正念場だ。そのポイントについてはこう語る。

「相手も凄く強い気持ちで来る試合になると思う。だから、まずは気持ちで負けないこと。その上で自分たちのテクニックを活かしながら、絶対に負けないようにしたい。全員で戦うことが大事で、強い気持ちで向かっていって、みんなの力で勝ち抜いていきたい」

 世界切符へあと1勝、アジア制覇まではあと3勝。全員の力を合わせて積み重ねていく。

(取材・文 川端暁彦)
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