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飲水タイムの声かけは横浜FM時代の習慣…藤田譲瑠チマはパリ五輪一次予選・第3戦で躍動狙う

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MF藤田譲瑠チマ

 アジアとの戦いを経て、たしかな収穫と課題を見出している。U-22日本代表はパリオリンピック一次予選を兼ねるU23アジアカップ予選のグループリーグ2試合で連勝。次戦引き分け以上でU23アジア杯出場が決まる。10日の練習後、MF藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)は「まず2試合勝てたことは、自分たちにとってすごくいいこと。引き分けでもというのはあるが、全部勝ってちゃんと最終予選に行けたら」と全勝を誓った。

 初戦・パキスタン戦は6-0で快勝したが、フィールドプレーヤー全員を入れ替えて臨んだ第2戦・パレスチナ戦は苦戦した。パレスチナにブロックを敷かれる場面が多く、日本はなかなか敵陣に迫ることができない。その一方で、相手のプレスに遭ってカウンターを受ける場面も数度あった。前半23分に少ないチャンスを決め切る。DF高井幸大の縦パスを受けたMF山本理仁が、再び縦にパス。MF小田裕太郎がボールを止めずにPA右に入り込み、折り返しをFW藤尾翔太がゴールに押し込んだ。

 相手の隙を突く流れるようなファインゴールは、DF高井からFW藤尾までの共通認識によるもの。藤田は「狙うところもはっきりしてきている。得点シーンも少しずつ再現性ができた」と手応えを語った。

 ベンチスタートの藤田は、前半は試合を見守った。前半33分の飲水タイム時には、ベンチ組がゴール裏でウォーミングアップを始めているさなか、スタッフとともに先発組に寄り添う様子も。「試合の中で気づいたことを伝えていた。畑(大雅)にはもっと上がってもいいかもと。(高井)幸大にはもっと(木村)誠二に強いパス出してあげなと。マリノスのときはみんなで集まっていた」。飲水タイムの習慣は横浜F・マリノス時代に選手たちが行っていたものだという。猛暑で言葉少なげだった先発組の背中を優しく押していた。

 藤田は後半29分から途中出場した。ボールを受けるとドリブルで相手のマークをはがしてチャンスを作る。またパスワークではリズムを変えた。「自分が感じたのは、ワンタッチのパスが少し少なかったところ」。単調なテンポを変えるべくパスを捌いた。後半32分には鋭いミドルが絶好機へ。シュート数も少ない中、まずゴールという勢いを途中投入でもたらしていた。

 第2戦は20分ほどのプレー時間に留まったことで、第3戦での先発起用の可能性も高い。「中継役になりながら、相手のカウンターのシーンをうまく潰せたら」と自身の役割に徹するつもりだ。強国・日本に対して固い守備を敷くアジア勢。「難しいとは思いますけど、そこで勝てないと次はない」。パリ五輪への最初の一歩を乗り越えるためにも、第3戦での躍動を目指す。

(取材・文 石川祐介)

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石川祐介
Text by 石川祐介

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