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U-22日本代表の“共通認識”をつなぐ「見えていた」好判断…小田裕太郎が鋭い突破から決勝アシスト

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待ち構える藤尾にパスを出すMF小田裕太郎

[9.9 U23アジア杯予選GL第2戦 日本1-0パレスチナ マナーマ]

 一瞬のひらめきが決勝ゴールにつながった。U-22日本代表はU-22パレスチナに1-0で勝利。MF小田裕太郎(ハーツ)がFW藤尾翔太の決勝ゴールをアシストした。走り込んだ藤尾の姿は「見えました」(小田)。流れるような連係が得点を生んだ。

 6日の初戦・パキスタン戦は終盤15分のプレーに留まった。それでも小田は右サイドから鋭い突破を見せ、短い時間で敵陣PA内にボールを上げた。翌日の練習後の取材では「個人としても徐々にチームと合わせていきたい。昨日感じだと合わせていける」と手応え。そして9日、第2戦で先発入りを果たした。

 午後9時半のキックオフにもかかわらず、連日の高温多湿な気候に選手たちも苦しめられる。「暑さというか湿気ですね。すごいと思いました」(小田)。ペース配分を守りながら、パレスチナの4-4-2のブロックをかいくぐろうとチャンスを見計らった。

 そして、一瞬の隙を突いた。前半23分、最後方のDF高井幸大が縦パスを出し、それを受けたMF山本理仁もトラップからすばやく縦へ。ボールが出るタイミングですでに小田がPA右のスペースに進入。「ポケットを取るという共通認識があった」。さらにクロスを上げる瞬間にコースも冷静に判断。「相手GKとDFの間に入れようと思ったけど流れそうだった」とクロスの軌道を修正し、「見えていた」という藤尾がいるマイナス方向へ。藤尾のシュートタイミングに合い、しっかりとゴールにつながった。

 藤尾のゴールはそのまま決勝点となり、日本は1-0で連勝を達成した。グループリーグ首位になれば来年4月にカタールで行われるU23アジアカップに出場できるため、試合内容以上にまずは勝つこと。それでも小田は「勝てたことだけよかった」と自身のプレーには不満が残ったようだ。

「もっとやらなきゃいけない」と笑顔を消す小田。日本は決定機を数度作ったが決め切れず、セットプレーは約20本あったにもかかわらず、いずれも得点に結びつかなかった。「何度かセットプレーで惜しいシーンはありましたけど、いい形ができなかった。もっとポケットに走り込んだり、仕掛ける回数も増やさないといけないと感じました」。小田は後半37分までプレーし、途中交代となっていた。

 猛暑の言い訳はできるが、小田は「相手も一緒なので」とやんわり否定。自身のパフォーマンスに「納得いかないです。質を上げないといけない」と自己評価を下した。中2日でやってくる12日の第3戦・バーレーン戦では、引き分け以上で首位が決定する。小田は「出れたら頑張りたいです」と体力回復を目指し、再びの活躍を誓った。

(取材・文 石川祐介)

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石川祐介
Text by 石川祐介

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