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ビルツ&サネを同時にケア…果敢な守備戦術支えたDF伊藤洋輝「とにかくスライドを速くして守っていた」

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日本代表DF伊藤洋輝(シュツットガルト)

 カタールW杯の対戦で一方的に攻め込まれた反省から、9日の国際親善試合ドイツ戦では最終ラインの押し上げを意識しながら果敢に戦った日本代表。なかでもDF伊藤洋輝(シュツットガルト)は空きやすい左サイドのスペースを懸命なスライドで埋めるという重い役割を託されていたが、失点シーン以外は冷静な対応を続けていた。

 伊藤の役目が大きくなったのは、日本の武器であるMF三笘薫(ブライトン)を高い位置に張らせておくため。「薫くんは中盤の選手でディフェンスラインじゃないので、僕らがスライドをとにかく速くしてああいう陣形で守っていた」(伊藤)。一方、ドイツは一般的な人員配置の左サイドに比べ、DFヨシュア・キミッヒとFWレロイ・ザネが縦関係に並ぶ右サイドで変化をつけてきていたため、伊藤に苦しい対応を強いる場面がいくつもあった。

 象徴的だったのは失点シーン。反対サイドで内側を取られ、細かい横パスをつながれたのが発端だったが、中間ポジションで受けたMFフロリアン・ビルツに伊藤が寄せたところの裏を突かれ、大外のサネがフリーになっていた。

 それでも伊藤は反省点に目を向けていた。「一つずつズレて行ったのが事実としてあるので、行き切るならもっとコースを切って行き切るか、ミドルシュートを打たせるか。(左センターバックの)トミ(冨安健洋)もスライドして来られたかもしれないので」と自身の対応を振り返り、「そこはまたチームとして起きた現象をしっかり分析して、ああいう相手にどう守っていくかをやっていきたい」と力を込めた。

 また何度かペナルティエリア内で1対1の局面を迎えたサネとのマッチアップも、狙いこそあれ改善の必要性を感じていたという。「トミと僕の間にビルツが常に走っていたので、まずそこを絞ってからの1対1だったのでとにかく左足(でのカットインシュート)を警戒していた。結構効いていた部分はあったので、1回どこかで(取りに行く)勝負をしてもよかったなと思う」と振り返った。

 もっともそうした課題が浮かび上がったのも、スピードを持ち味とするドイツ代表のアタッカー陣に対しても勇敢なハイラインと4バックのスライドで立ち向かったからこそ。伊藤は「データ上でもクリアの数、押し込まれる時間、ペナ内に侵入された回数がW杯でやった時に減っていたのでチームとして良いオーガナイズでできたと思う」と手応えも口にした。

 さらに左サイドバックからのビルドアップにおいても「トミが左足で持った時、僕と守田(英正)くんのポジションをどこに取っていくかまだハッキリしていない部分があったのでこれから整理しないといけない」と課題にフォーカスしていたが、ディテールにこだわれるのも、内外の使い分けなどの基本的な動きが整理されてきたからこそだろう。「3月はあまり上手くいかなかった中、6月と9月はスムーズになってきたと思う」と長い目線での手応えもあるといい、ここからさらに洗練を重ねていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア2次予選特集ページ
竹内達也
Text by 竹内達也

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