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ドイツ相手に輝いた新時代のCBコンビ…冨安と初タッグの板倉滉「人数をかけずとも守れるぞと」

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10日の練習後、共にエアロバイクを漕ぐDF冨安健洋(アーセナル)とDF板倉滉(ボルシアMG)

 新時代のセンターバックコンビがドイツ代表を抑え込んだ。日本代表DF板倉滉(ボルシアMG)が国際親善試合ドイツ戦から一夜明けた10日、報道陣の取材に対応。DF冨安健洋(アーセナル)との連係に「代表に入って初めてトミと一緒にCBを組んだけど、ドイツ相手に非常にポジティブなトライができたと思う。個々でも負けず、人数をかけずとも守れるぞというのをトライできた」と手応えを語った。

 それぞれの所属先で培ってきた対人能力に加え、際立ったのは高い最終ラインで実現したコンパクトな守備ブロック。板倉は「あれだけハイラインでずっとステイし続けられたことがすごくポジティブだったと思うし、トミの機動力も含め、ディフェンス陣の運動量が高くないと守れない試合だったけど、それができるぞということをドイツ相手に見せられてよかった」と前向きに振り返った。

 前半終了間際にはFWレロイ・サネに抜け出される場面もあったが、それほどのリスクを背負った勇気を持ったラインの押し上げは、W杯での対戦と大きな違いを生んでいた。

「相手攻撃陣がスピードがあるのも、裏を取るのが上手いこともわかった上で、ライン設定を高くしてチーム全体でコンパクトに守れた。相手が裏を取るのが上手いぶん、引くのは簡単だったと思うけど、強気に行くことによって、相手のプレーラインもW杯に比べて低かったと思うし、相手が取りたいポジションにパスが入った時も後ろから強く行けていた」(冨安)

 相手は3トップと両インサイドハーフで合計5枚が前線に張り出していたが、日本の守備陣は丁寧なスライドを続けて4バックのまま応対。それによって前線に預けどころを作ったり、ハイプレス要員を増やしたりすることができ、ボールを握り続けられる時間帯はほとんど作らせなかった。

「試合前から最終ラインが4対5で数的不利になる状況、相手の中盤2人も高い位置を取ってくるのはわかっていたし、その中でも4枚で行こうと話していた。横ズレの運動量が多くなることは予想した上で試合に入ったけど、後れを取らず、ボールサイドにみんながコンパクトに、両サイドに味方を感じながら動けていたのが全て」

 W杯では5バックによる同数の対応で称賛を集めていたが、それも過去の話。この日は数的不利でも耐え得る守備網を構築してみせ、ビルドアップでもドイツのハイプレスを無力化するなど新時代のディフェンスラインを印象付けた。

 こうしたオーガナイズを積極的にトライできたのは、相手選手に劣っているという感覚が選手たちにないからこそだ。板倉自身はボルシアMGで日々、ドイツの強豪クラブの攻撃陣と渡り合っており、冨安に至っては世界最高峰のプレミアリーグで異次元のマッチアップを経験している。

「たくさんの選手がヨーロッパでプレーしているし、僕もここに来る前(前節)はバイエルンと試合をして、ドイツ代表と同じメンバーが結構いた。普段からああいう相手とできているのは大きい。相手をリスペクトしすぎることなく、もちろんリスペクトはしているけど、自分たちが下で相手が上という感覚は誰も持っていない。それが昨日のプレーにもつながったと思うし、後ろから見ていてもみんな自信を持ってプレーしていた。こういう相手と戦っていかないといけないし、倒していかないといけない。僕自身もそう感じていたし、チームでもそう感じた」(板倉)

 失点シーンの総括でも「(寄せに)行くという意識は全然よかった。ただ1対1で潰せたと思うし、ファウルでもよかった」と主体的な対応にこだわった板倉は「ああいうスキを与えると1点取ってくるとまた改めて感じたので、もっともっと上に行くためにもそういうスキはなくしていきたい」とさらなる向上にも意欲。その表情からは日本代表を次のステージに進める充実感が漂っていた。

(取材・文 竹内達也)
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竹内達也
Text by 竹内達也

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