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“逆足”スーパーミドルでA代表初ゴールの伊藤敦樹「あの流れはレッズでやっている動き」

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日本代表MF伊藤敦樹(浦和)

[9.12 キリンチャレンジ杯 日本 4-2 トルコ ゲンク]

 落ち着かない流れが続いた前半15分、試合の均衡を破ったのは日本代表MF伊藤敦樹(浦和)のスーパーゴールだった。右サイドでボールを受け、シュートフェイントを駆使して中央に持ち込むと、MF堂安律とのワンツーから左足一閃。逆足とは思えない完璧な弾道でゴール右上隅を撃ち抜いた。

 伊藤は6月シリーズのエルサルバドル戦でA代表デビューを果たし、この日が初先発。通算2試合目にしてA代表初ゴールを記録した。いったんサイドに流れながらフィニッシュに関わる形も、果敢に振り抜くスーパーゴールも、いずれも浦和レッズでの積み重ねの賜物だった。

「あの流れはレッズでやっている動き。律が持った時にまずは斜めに抜けて、パスが出なかったのでそのままサイドに流れて、いい形でボールが来た。最初はクロスを上げようと思ったけど、相手が思ったより食いついてきたのでキックフェイントをしたら、もう一度中を見たときに相手が遅れて出てきてくれた。律といい形でワンツーした時にはもう打とうかなと思って、相手もそこまで来てなかったし、打った瞬間に入ったと思った。それくらい感触も良かった。形も綺麗だったし、代表初ゴールを取れたことも嬉しいし、ああいう良い形で取れたことも嬉しい」

 9日の国際親善試合ドイツ戦では出番がなく、燃える気持ちは大きかった。「ドイツ戦であれだけの試合を見せられて、自分は試合に出られずにベンチに座っていて、モチベーションも非常に高かった。代表2試合目で初スタメンで本当に結果を残したいと思っていた」。その思いも乗り移った一撃に「ゴールというわかりやすい結果を残せたのは自信につながった」と手応えを語った。

 一方、ゴール以外の部分では課題も痛感していたという。

「守備のところでフィルターになり切れていなかったし、ボールに行くところ、オーガナイズするところでも自分が主導権を握ってできたら良かった。ボールを奪い切るところもまだまだだと思った。攻撃ではビルドアップで2CBが思ったより簡単に運ぶことができて、自分がどこに顔を出すかというところでタケ(久保)や律と被ってしまうことが多く、どこにポジションを取っていいか分からない時間が多かった。あとはボールワークのところでも、もう少し丁寧に簡単に失わず、アシストできるシーンもあったので、もっともっとこだわっていかないといけない」

 ここからは再び、Jリーグでの戦いがスタートする。6月シリーズに続く代表活動を通じて、ヨーロッパでプレーしたい思いが「強まった」という伊藤。しかし、浦和でも「帰ったからと言ってすぐに試合に出られるわけではない」と競争があり、「自分の存在をレッズで示していかないといけないと思うし、そうやって示すことが自分の使命でもある。レッズに帰ってレッズを勝たせられる選手になっていきたい」と高い基準で意気込む。

 まずは15日の京都戦からJリーグが再開。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)が来週ミッドウィークから開幕するため、国際Aマッチウィーク後では異例の“金J”が組まれている。「帰国はほぼ1日くらいかかる。帰ったら自分はすぐに試合なので、できるだけ時差を意識しながら。こういった経験も初めてなので良い経験にできるようにしていきたい」。代表定着を目指す限り、長距離移動もつきもの。少しでも良いコンディションを整え、日常へと戻っていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
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竹内達也
Text by 竹内達也

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