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A代表初先発のFW中村敬斗「点を取るまでは自分の色を出せていなかった」孤立気味でも2ゴール

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日本代表FW中村敬斗(スタッド・ランス)

[9.12 キリンチャレンジ杯 日本 4-2 トルコ ゲンク]

 試合から消えかかっていた中でも結果を出した。日本代表FW中村敬斗(スタッド・ランス)はキリンチャレンジカップ・トルコ戦に左サイドハーフでA代表初先発。チームは右サイド主体で攻撃を組み立てる中、左では孤立する時間帯が続いていたものの、持ち味の球際スキルと決定力で2ゴールを奪った。

 中村は試合後、前半の難しい展開を率直に振り返った。「ぶっちゃけゴール以外はボールに触る機会がなかった。左サイドが数的同数だったのと、(トップ下の)久保選手が右に流れていた分、向こうが数的優位で、向こうの展開が多い中、なかなか点を取るまでは自分の色を出せていなかった」。それでも自身の役割をしっかりと見据えていた。

「どこかで球際とかガシャガシャとなったところで取ればチャンスだと感じていた」

 まさに狙いどおりのシチュエーションを迎えたのは1-0で迎えた前半28分、中央で相手に圧力をかけると、ファウルと感じた相手がセルフジャッジしてその場で静止。MF久保建英(ソシエダ)とボールを奪い合う形となり、その場は譲ったが、久保のミドルシュートにしっかりと詰めていた。

「球際でガシャガシャとなってボールを奪ったところで、久保選手とどっちが取るかみたいなところで、久保選手にボールがこぼれた。(足を)振ると分かっていたので良いシュートが行くだろうなというところで詰めていた。打った瞬間から狙っていたのでうまくこぼれてきたよかった」

 久保からはすぐに「ボール取ってごめん。こぼれてよかったわ」と伝えられたという中村。それでも6月シリーズのエルサルバドル戦では久保のアシストからA代表初ゴールを決めており、「エルサルバドル戦も彼からのパスだし、今回は彼のシュートから。アシストではないけど彼からゴール生まれるなというのがある。一緒にプレーしていてワクワクする選手なので嬉しい」とアンダー世代から共に戦ってきた関係性を誇った。

 2点目は2-0で迎えた前半36分、右サイドでボールを奪い切ったDF毎熊晟矢(C大阪)からのクロスを冷静に沈めた。「あれだけカウンターで数的不利だったので、あそこでボールが来れば決めて当然くらいな感じだった。落ち着いて相手の股を狙って決められたので良かった」。あっさりと振り返ったが、冷静にシュートコースを見定めた一撃。武器とするゴール前の決定力をあらためて印象付けた。

 そうした中村の活躍にはスタッド・ランスでチームメートのMF伊東純也も「いやー、持ってるなと思いました」と笑み。「敬斗、ボール触ってたか?って思ってたら点決めたんで。やっぱり決定力があるんで、ああいうところはアイツなら決めるかなと思ってました」とマイペースに祝福していた。

 チームにとっても中村の2ゴールが大きく流れを手繰り寄せ、大幅に先発メンバーを入れ替えた中でもドイツ戦(○4-1)に続く連勝を果たした。「チームとして絶対に勝ちに行く、ドイツ戦でいい試合をしたからにはトルコにも勝つというのがあった。ほとんどの選手が大幅に入れ替わって、特に初先発だったのでアピールの場というのがあった。結果を残すのが大事かなと思っていたので良かった」と手応えを口にした。

(取材・文 竹内達也)
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竹内達也
Text by 竹内達也

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