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「ラストチャンス」に燃えるU-17日本代表、初戦の反省を活かしてNZに2-0快勝!

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前半26分、U-17日本代表FW前田勘太朗(横浜FCユース)が先制ゴール

[9.16 国際ユースin新潟第2節 U-17日本代表 2-0 U-17ニュージーランド代表 新潟市陸上競技場]

 U-17日本代表、U-17ベネズエラ代表、U-17ニュージーランド代表のU-17ワールドカップ(11月開幕)出場3か国とU-17新潟選抜の計4チームが総当たり戦で優勝を争う「第25回国際ユースサッカーin新潟」。16日、その第2戦が新潟市の新潟市陸上競技場で行われた。

 初戦でベネズエラに2-3と敗れていた日本は、ニュージーランドに対して第1戦の反省を踏まえて立ち上がりに「まずは前から行く」(FW前田勘太朗、横浜FCユース)ことでペースを掴むと、前半で2得点。2-0の快勝となった。

 選手たちにとって今大会の位置付けは明確。U-17日本代表のトップチームは10日までフランスで開催されていたリモージュ国際大会に出場。新潟に集まったのは、そこに入れなかった選手たちであり、だからこそ思いも強い。「この大会で人生を変えるつもりで来た」と前田が言えば、「前に代表へ呼ばれたときは自分のプレーができなかったので、ラストチャンスだと思ってやっている」と語ったのはMF加治佐海(川崎F U-18)。

 初戦はそうした思いがチームとしてまとまっていなかったようで、「意思統一できていなかったし、中での声も少なすぎた。遅いですけど、初戦が終わってからみんなで話すようになってコミュニケーションは増えた」(加治佐)という姿勢の変化は、この試合のキーポイントとなった。

 日本の先発はGKがピサノアレクサンドレ幸冬堀尾(名古屋U-18)、右SB森壮一朗(名古屋U-18)、CB木吹翔太(広島ユース)、CB山田佳(前橋育英高)、左SB佐藤海宏(鹿島ユース)、ゲーム主将のMF長田叶羽(G大阪ユース)とMF川合徳孟(磐田U-18)のダブルボランチ、右SH加治佐、左SH西川宙希(C大阪U-18)、FW神代慶人(熊本ユース)、FW前田。初戦から7名を入れ替える形となった。

 中1日の連戦で、「正直、体は第1戦より重かった」と言う前田だが、献身的なプレーを披露。「初戦は純粋に行きすぎた」という反省を踏まえ、変化を付けての動き出しでマークを外すランニングを見せるなど、攻撃を引っ張る。

 26分にはその前田が前線での守備で相手ボールを奪い、GKと1対1になる決定機。これは相手GKマシュー・フォードの好守に阻まれたが、川合が拾ったボールを攻め上がっていた森へと繋ぐと、「完璧な落とし」(前田)を受けて前田が再びシュート。「相手GKの位置がずれているのは見えていた」という冷静なシュートコース選択が功を奏し、見事にゴールネットを揺らした。

 その後も試合は日本ペース。相手のシンプルな攻撃をシャットアウトしつつ、両翼へSBを積極的に走らせる攻撃からチャンスを掴む。廣山望監督が「第1戦のSBは(相手に)やらされるスプリントの数ばかりが増えて、自分たちから仕掛ける前へのスプリントが少なすぎた」と厳しく指摘した反省点を踏まえてのアグレッシブな攻勢だった。

 ただ、「相手を観てサッカーをする部分もそうですが、まず単純なキック精度のところからまず足りなかった」と指揮官が言うように、ゴール前に迫る場面は多く作ったものの、ゴールを奪い切るための質を欠くプレーも目立つ内容に。43分に長田の好パスから前を向いた加治佐が「得意なコース」と語る会心のミドルシュートを沈めたものの、結局それ以降の時間帯でゴールネットを揺らすには至らなかった。

 後半は交代出場のDF江口拓真(神戸U-18)、MF柚木創(流通経済大付柏高)、小竹知恩(清水ユース)らが意欲的なプレーを見せて日本が押し込み続けていただけに、「相手ゴール前での精度」(廣山監督)という明確な課題も残る内容となった。

 ただ、相手の圧力に面食らってしまってバラバラに戦ってしまったという第1戦の反省を活かし、「しっかり無失点で試合を進めたこと」については廣山監督も高評価。第3戦に優勝の可能性を残すことで、「本気の戦いをもう1試合やり切れる状況」(廣山監督)を作ったのはポジティブな要素と言えそうだ。

 第3戦の相手は地元の新潟選抜。「絶対に、簡単な試合にならない。新潟には素晴らしい選手がいるし、気持ちも入れてくると思う」チームに対し、「ラストチャンス」と意気込む選手たちがどれだけのパフォーマンスを出し切れるか。

 11月のU-17ワールドカップへ。スタンドから見守る森山佳郎監督に「こいつを選びたい!」と思わせるプレーを見せる選手が、一人でも多く現れることを期待したい。

(取材・文 川端暁彦)
●U-17ワールドカップ2023特集ページ


川端暁彦
Text by 川端暁彦

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