beacon

久保建英「僕はゲン担ぎは嫌いだけど…」昨年ノエスタでA代表初ゴール

このエントリーをはてなブックマークに追加

日本代表MF久保建英(ソシエダ)

 ノエビアスタジアム神戸は1年4か月前にA代表初ゴールを決めた思い出の地。日本代表MF久保建英(ソシエダ)は大きく成長した姿で再び神戸にやってきた。「僕はゲン担ぎとかは嫌いだけど、ポジティブなものだけは守ろうかなと」。欧州トップレベルの舞台で実績を重ねた22歳に、あの日のような気負いはない。普段どおりのパフォーマンスを発揮する構えだ。

 久保は昨年6月10月、ノエスタで行われたキリンカップ・ガーナ戦(○4-1)でA代表初ゴールを記録。2019年6月9日のデビューから丸3年、17試合目でようやく歓喜の瞬間を迎えた。試合後には「このまま一生入らないんじゃないかと思うこともあった」と複雑な思いを吐露。人知れず感じていた苦悩の跡を垣間見せる場面もあった。

 それでも1年4か月後、久保はラ・リーガでの活躍を経て、実績的にも内面的にも大きく生まれ変わった姿で再び神戸の地に立っている。A代表初ゴールの味も、もはや過ぎ去った出来事。「過去のことなのでああだこうだいう必要もないけど、あの時は嬉しかったですよね。ずっと入っていなかったので」とサラリと口にし、いまは前を向いている。

 右サイドでプレーする際のイメージを問われれば「右で出た場合は縦にも中にも行けるのが今の僕の特徴かなと思う。1枚くらいなら全然余裕かなと思う」と自負をのぞかせ、MF三笘薫やMF鎌田大地の不在に話が向けられれば「もともと彼らがいてもいなくても、僕が主役になるつもりで来ているので変わらない」と言い切る。その堂々たる姿を支えているのはスペインで積み上げてきた自信だ。

 13日のカナダ戦は所属先ソシエダでの連戦もあり、同様の立場にあるMF守田英正(スポルティング)やDF菅原由勢(AZ)とともに出場機会はなかった。それでもハーフタイムに森保一監督と口元を隠して会話するシーンがテレビ中継に抜かれ、大きな話題を呼んだ。

 森保監督はこの日の会見で「普段所属しているレアル・ソシエダでゴールキック、ビルドアップの部分でどういうことをやっているかというのを聞いた」と内容を明かしたが、その光景が大きな説得力を帯びるほど、久保の日本代表での序列が高まっていることを印象付けるワンシーンだった。

 久保自身は「僕はそんなに“ヨーロッパトップレベルでやっている自分”とかそういうふうには思っていないけど、代表が強くなるために監督もいろんな選手に聞いたり、いろんなことを融合をしていると思う。そこに一個人の選手がもたらせるものがあるなら喜んでやる。それは僕だけじゃないと思う」と冷静に振り返り、その知見の活用法にも「ソシエダのやり方が正解じゃないので、あとは監督の仕事。監督がどう思うかだと思う」と一歩引いた姿勢を崩さない。

 日本代表選手としてチームに合流するからには、まずはピッチのパフォーマンスで本領発揮といきたいところだ。17日のチュニジア戦は4-2-3-1の布陣で臨むことを指揮官が明言しており、トップ下での先発が有力。「トルコ戦は良かったけど、やることが多かったので個人としてはすごく疲れた。そういった意味でトップ下で出た場合はできればもっと前の仕事に専念したい。トルコ戦は下がって組み立てることが多かったので、タスクをもっと前の仕事に持っていけたら」。スペインの地で日に日に研ぎ澄まされているゴール前の仕事を果たすべく、再びノエスタのピッチに立つ。

(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア2次予選特集ページ
竹内達也
Text by 竹内達也

TOP