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ワールドクラスのミドル弾炸裂! 久保建英、W杯予選初ゴールも感慨は「あんまないです」

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MF久保建英(ソシエダ)がW杯予選初ゴール

[11.21 W杯2次予選第2戦 日本 5-0 シリア ジッダ]

 0-0の時間が続いた前半30分、シリアの守備ブロックを破ったのは日本代表MF久保建英(ソシエダ)のスーパーミドルだった。「打たないといけないなと思っていたので、入ってよかった」。MF伊東純也からの落としをゴール右斜め前で受けると、小さく持ち出して左足一閃。得意なコースから完璧なシュートをゴール右隅に叩き込んだ。

 ゴールが決まったのは先制点が奪えないまま相手のカウンターを受け始め、嫌な流れも漂った時間帯だった。「焦りはなかったけど、時間が過ぎていたのも事実だったので、早く点は欲しいなと思っていましたね」。その前後も決してシュートチャンスは多くはなかったが、限られた機会でワールドクラスのクオリティーを見せつけた。

 終わってみれば5-0の大勝となったが、このゴールがなければシリアの徹底的な守備ブロックは続いていたはず。「相手のプラン通りに試合が進んでいたので、あそこで一発決められたのは相手のプランを崩すためにもよかったなと思います」。ゴールラッシュの口火を切ったという意味でも価値ある一撃だった。

 前回のカタールW杯予選は負傷もあって定位置を掴めず、初招集から3年間ノーゴールと苦しい時期が続いた。昨年6月のガーナ戦でようやく初ゴールを記録したが、「このまま一生入らないんじゃないかと思うこともあった」と抱えていた葛藤を吐露。そうして迎えたW杯本大会も前半限りの起用という黒子役に徹し、最後は体調不良のためホテルで敗退を迎えるという悲痛な結末を経験した。

 それでもこの1年間、欧州トップの舞台で目覚ましい成長を遂げてきた。「個人的には右肩上がりで知名度も実力も世界的に見てついてきたかなとは思っている。このままの成長曲線を続けられたら、もっともっといい選手になれるんじゃないかなという実感が湧く1年だった」。そうして掴んだW杯予選初ゴールだった。感慨は「あんまないです。特に」とサラリと口にしたが、A代表の中心選手であることを明確に印象付けるゴールとなった。

 もっとも久保に心休まる暇はない。ここからは再び、ラ・リーガと欧州CLの連戦生活に戻っていくが、スペイン代表の活動でFWミケル・オヤルサバルが負傷しており、ソシエダを引っ張っていく活躍がいっそう求められる。

「ここからまたチームで中心選手になってチームを勝たせていくことが代表の成長につながると森保監督も言っていたし、そのとおりだと思う。また次の招集(アジア杯メンバー発表)が12月にあると思うんで、それまではいったん気持ちを切り替えて。しっかり2連戦を連勝で締めくくれたのはいい滑り出しだと思うので、(勢いを)自チームに持ち帰って頑張れたらなと思います」。その先に来年1〜2月のアジアカップを見据えている。

(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア2次予選特集
竹内達也
Text by 竹内達也

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