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足りないものを痛感できたことがU-17W杯の成果。FW道脇豊(熊本)「日本で本気でやるしかない」

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FW道脇豊(熊本)はU-17ワールドカップでの悔しさを糧に

 結果として、0得点。「自分の名前を世界に売りたい」と語ってきたFW道脇豊(熊本)にとって、U-17ワールドカップの戦いは苦い記憶として刻まれることとなった。

 ラウンド16のスペイン戦では途中出場で試合の流れを変える役割を期待されたが、思うようなプレーができず。ゴール前で存在感を出し、結果を残すには至らなかった。

「悔しいとか、何か言える資格がないくらい、何もできなかった」(道脇)

 今年8月末に試合中に鎖骨を骨折して離脱。負傷自体は癒えて大会に間に合ったが、ゲーム勘も含めて、なかなか本来の状態まで戻すことができなかった。

「この大舞台に向けてケガ明けのところから100%まで持ってこられなかった。本当に、率直に、それが一番後悔です」(道脇)

 ただ、コンディションが悪かっただけとも思っていない。実際に各国のDFと競り合い、世界の同世代のストライカーたちのプレーを目の当たりにする中で、痛感させられたものも多くある。

 道脇は「自分のストロングポイントも世界では全然武器でなかったし、課題も多く出ました。そこにはこれから向き合っていかないといけない」とした上で、こう語る。

「すべてに関してまだまだです。どの国を観ていてもFWに凄い選手がいて、スペイン代表のバルサのFW(マルク・ギウ)は本当に良い選手だなと思ったし、全部が自分よりも上。普通に日本で、ロアッソでやっていたときには感じられないものだった。同年代の世界のFWを色々見られたことは間違いなく大きな刺激になったし、これからも世界を見つめてやっていきたい」

 この大会の道脇がポジティブな印象を残せたかと言えば、率直に言ってそうではないだろう。だが、足りないものを痛感できたのも、この大会に向けて必死に間に合わせ、そして本気で戦ったからこそ得た成果だ。

「もっともっと世界の舞台で決めて注目されるようなプレーをしたかったけど、それができるようになるために、日本で本気でやるしかないと思っています」(道脇)

 悔しさからのさらなるブレイクスルーへ。熊本が誇る期待の大器は、この挫折を糧にして新たな一歩を踏み出す。

(取材・文 川端暁彦)
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川端暁彦
Text by 川端暁彦

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