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右SBで順応進む毎熊晟矢、冨安とのタッグで学んだ“代表基準”「Jリーグとは違った守備だなと」

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日本代表DF毎熊晟矢(C大阪)

 日本代表DF毎熊晟矢(C大阪)が16日のトレーニング後、報道陣の取材に応じ、1点リードの難しい状況でピッチに立ったアジアカップ初戦・ベトナム戦(○4-2)をあらためて振り返った。

「あの時間帯で出て点差もあまりなかったし、試合の終盤だったので、まずはチームの勝利のために自分が確率を上げることを考えてやっていた。自分の良さはなかなか出せなかったけど、与えられた役割はしっかり全うできたと思う」。国際Aマッチ6試合目でのアジア杯デビュー。1点差での投入に「多少は緊張しながら入った」というが、冷静にそつなくプレーする姿が印象的だった。

 ベトナム戦では毎熊自身が安定感のあるパフォーマンスを発揮したことに加え、先発のDF菅原由勢(AZ)が累積警告を受けており、グループリーグで再び毎熊に出番が巡ってくる可能性は高い。

 チームの練習後には居残り練習を希望する守備陣が集まり、ラインコントロールやビルドアップの確認をするのが恒例となっているが、毎熊は常に参加。「毎回、隣でやっている人が変わるし、多少だけど特徴も掴みやすいと思うので続けたい」と意識を高く持って取り組んでおり、そうした積み重ねが活かされる時も近そうだ。

 16日の居残り練習ではDF冨安健洋(アーセナル)と横に並び、連係を確認する姿が見られた。練習中の8対8ミニゲームでも共にプレーしていたが、代表戦で同時に出場したのは昨年10月のカナダ戦の前半45分間のみ。毎熊は「自分の記憶では距離感が遠かった感じで、自分も前半はあまり良くなかった」と振り返りつつ、この合宿を通じて連係を向上させていきたいところだ。

 何より世界最高峰の舞台でプレーする冨安からは、日々のトレーニングから大きな刺激を受けているという。

「常に僕は練習から学びの場だと思っているけど、冨安選手のプレスの行き方や、タイミングもいい。自分も以前FWをやっていたけど(FWにとって)嫌だろうなというタイミングでつぶしに行くので、そこはタイミングが上手いなと見ていたり、自分もそれを参考にして出ていくようにしています」(毎熊)

 カナダ戦でプレーした際は「冨安選手がつぶしに行ったので、自分はカバーしに行ったけど、『そこは一緒につぶしに来てもいいよ』というふうに、自分のマークに行くように言われた。そこはJリーグとは違った守備だなと感じた」と毎熊。以降、代表チームではパスコースを消しながら相手を牽制するJリーグ基準の守備ではなく、マンツーマン気味に相手をつぶし切る国際試合基準の守備を意識しているという。

「海外の選手はサイドハーフも結構マンツーマンで守備をする。Jリーグでは(サイドハーフが)中締めからスタートするけど、海外ではそこをボランチが捕まえて、サイドハーフはサイドバックを捕まえに行く。その守備はJリーグではなかなかない。去年、代表から帰った時とまた来た時にそこの違いが難しかった」

 そんな守備組織を実現するためには1対1の守備で後れを取らないことが大事。だが、対人の守備力は毎熊が初招集を果たした昨年9月からいっそう意欲的に取り組んできた部分でもある。「サイドバックからすると背後にカバーがいない怖さもあるけど、1対1でやらせずラインを高く保てればよりコンパクトに守れると思うし、1対1でやらせない前提があればその守備のほうがいいと思う」。そう前向きに受け止め、A代表基準の守備に取り組んでいるようだ。

 また昨年9月の初招集時にはMF三笘薫(ブライトン)とのマッチアップなどを通じ、間合いの違いに課題を感じていた毎熊。それでもいまは徐々に順応が進み、周囲との組織的な守備にも目を向けられる段階にきているという。「当時はまだ自分の1対1の状況でという感じでやっていたけど、いまは前の選手を動かしながら詰めやすいようにというのができてきている。より1対1というよりはサッカーの動きというか、戦術の中で間合いを詰めることを意識している」と手応えを口にした。

 ベトナム戦では1点リードという状況下でチームの役割を徹底し、「自分の良さというのはなかなか出せなかった」という毎熊だが、先発の機会が与えられれば自身の強みも発揮する絶好のチャンスとなる。「出場時間がどうなるかわからないけど、次はもっと自分の特徴をもっと出せるようにやっていきたい」と力を込め、まずは19日のイラク戦に向けて練習からアピールを続けていく姿勢だ。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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