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アイスランド戦メンバー発表、ザッケローニ監督会見要旨

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 日本サッカー協会は17日、キリンチャレンジ杯・アイスランド戦(24日、長居)に臨む日本代表メンバー25人を発表した。GK林卓人(仙台)、MF磯村亮太(名古屋)、MF柴崎岳(鹿島)、FW金園英学(磐田)、FW久保裕也(京都)がA代表初選出。オシム元監督時代の07年5月に日本代表候補合宿に参加したことのあるDF近藤直也(柏)もA代表初招集となった。
以下、会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
「ようやく試合ができますね。試合から遠ざかっていたが、アイスランド戦からスタートする。この試合は国内組で臨むことになるが、私にとってもこの合宿は大切なものになる。初招集した選手を手元で見ることができるし、これまで呼んでいた選手もウズベキスタン戦に向けてコンディションを上げる意味で大事な試合になる。リストを見てもらえば分かるが、3人のフレッシュな若い選手が入っている。彼らは将来性のある選手で、近くで見てみたい希望があった。期待しているというメッセージを若い選手全員に発信したい狙いがあった。A代表のスタッフがプレシーズンもキャンプを視察して、コンディションのいい選手を見極めて選んだ。
 総括すると、今回の合宿には3つの目的がある。一つはアイスランド戦をこなすことでウズベキスタン戦に向けて試合勘を戻すこと。2つ目は初招集の選手を手元で見てみたいということ。そしてもう一つが、若い選手に対して将来的にチャンスがあるというメッセージを伝えること」

―3人の若手だが、宇佐美のときのように試合での出場機会はないのか?
「最大の目的は、近くで彼らを見ること。代表の雰囲気を感じさせ、将来に向けて期待していることを感じさせたい。アイスランド戦ではベンチには全員入るので、試合の流れに応じて、もしかしたら出るかもしれないが、呼んだ目的は最初に言ったとおりで、宇佐美を呼んだときと似たような感じ」

―J2の京都に所属する久保を見る機会はあまりなかったと思うが、彼に期待することは?
「私はJ1を中心に見ていたので、スタッフが特に彼を見てくれていた。私も映像を通して見ていたし、若くて、高いクオリティーを持っていると聞いている。他の2人もそうだが、さらなるクオリティーを加えてほしいと思っている。その一つが経験だと思うが、それを感じてもらうためにも今回の招集に至った」

―柴崎に期待することは?
「昨季終盤は試合をこなしていたし、テクニック、バランス、パーソナリティーではいいものを持っている。代表の空気に触れてほしいと思ったし、将来、期待していることを伝えたかった。代表を経験することでさらなる成長をしてほしいと思っている。今回のように海外組がいない状況では、国内組の若い選手を見るには絶好のチャンスだと思って、こういった招集になった」

―大久保はザッケローニ監督になって初招集だが、W杯後の大久保をどう見ていたか?
「私が日本に来てから大きなケガをして、長い間プレーできなかった。昨季もケガから復帰して、調子を取り戻すのに時間がかかっていたが、終盤はいいものを持っているのを随所に見せていた。皆さんがご存じのように彼は高いクオリティーを持っている。W杯であれだけの活躍をしたのも記憶に新しい。スタッフから上げられた情報でもキャンプでキレのある動きを見せているという報告を受けていた」

―伊野波、槙野、阿部は海外からJリーグに戻ってきた選手だが、彼らで注目することは?
「3人は日本に帰ってきたので、これから見る機会が増えるだろうし、それはうれしいこと。代表でも常連のメンバーなので、特にここを見るということはない。ウズベキスタン戦に向けてコンディションを取り戻すのが一番。槙野はドイツで出場機会に恵まれていなかった。阿部は最初は出ていたが、後半戦はあまり恵まれていなかった。伊野波は試合に出ていたが、いずれもウズベキスタン戦に向けてコンディションを取り戻してほしい。海外に移籍した選手にはコンスタントにプレーしてほしいと思っている。試合に出ていれば直近の試合でコンディションをチェックできるし、情報量も多い。欧州に行って、試合に出られない選手もいたし、それでコンディションを落とした選手もいた。私が祈っているのは、海外に行った選手が試合に出ること。日本に戻ってくる選手もいるが、出て行った選手もいるので、相対的に海外組の人数は変わっていないと思う」

―石川は代表経験もそれほど多くなく、年齢的にもベテランの域に入ってきたが、招集の意図は?
「この代表ではベテランの域に入るかもしれないが、現在のサッカー界では30歳、31歳の選手が年を取っているわけではないし、パフォーマンスも落ちないと思う。昨季はJ2だったが、一昨年はJ1で見ていたし、ケガをするまではいいパフォーマンスを見せていた。個人的に彼を試合で見ていたときは、いつもいいプレーを見せていた。チームに献身的な選手で、相手にも読みにくい選手。縦に抜けてクロスもあるし、中に回ってシュートも打てる。たくさんの選択肢をスピードのある中でできる選手だと思っている」

―久保のプレーをこれまで指導してきた選手に例えると?
「他の選手に例える、似ているという話はしたくない。2人として同じ選手はいない。久保は近代的なFWで、何でもこなせるタイプだと思う。経験はまだまだ足りない。高校生で、J2でプレーしていた。J2も難しいリーグだが、J1の方が難しいリーグだと思う。まだまだ経験は足りないと思うが、彼らには将来的に期待しているというメッセージを伝えたくて呼んだ。通常の試合では23人ほど招集するが、今回は25人呼んだ。若手の選手に期待しているというメッセージを伝えたかったし、今回呼ぶことで手元に置いてみることもできる。伸びしろやどういうものを持っているかを肌で感じることができる」

―若手と同時に石川や大久保らベテランも多く招集した理由は? また、それでも最年長は遠藤だが、70年代生まれの選手が呼ばれる可能性はないのか?
「バランスの話を常々していると思うが、これだけ若手を呼んだわけで、代表での経験がある選手を入れることでチームのバランスをもたらしてくれることに期待して招集した。今回の合宿は私にとっても大切なチェックの場になる。チームの底辺を広げ、底上げするためにも、どこまでできるのか見極めるために呼んだ。70年代の選手は呼ばないとか、そういうわけではなくて、情報は持っているし、私の中で彼らは計算のできる選手。特に深い意味はない」

―今回のメンバーからウズベキスタン戦に向けてどれくらい絞り込むのか? また特に強化していきたいポジションは?
「アイスランド戦で長くプレーする選手も出てくると思うが、彼らがウズベキスタン戦でもプレーするだろう。彼らには長くプレーしてほしいと思っている。ウズベキスタン戦では海外組は48時間前、24時間前にしか日本に戻ってこれない。フィジカルの面で不安もある。今回のメンバーで、いいフィジカルコンディションを見せてくれた選手にはチャンスになる。強化していきたいのは前めの選手。そこを重点的に見ていきたい。現時点で本田、清武、そして香川がケガで状態が思わしくない。その流れで前線の選手に注目している」

(取材・文 西山紘平)

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