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待望のトップ下も不完全燃焼…香川「自分が得意としているプレーではなかった」

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[2.29 W杯アジア3次予選 日本0-1ウズベキスタン 豊田ス]

 待ちに待ったポジションでの先発のはずだった。MF香川真司(ドルトムント)は4-2-3-1のトップ下でフル出場。所属チームでも任されている“本職”でザックジャパンでは初の先発出場を果たしたが、90分ノーゴールという結果に終わった。

「点が取れなかったし、攻撃の形もなかなかうまくいかなかった。個人的にも、チームとしても、もっとうまくできたんじゃないかと思う。あの位置に入ったからには、もっと攻撃のスピードを上げるところでゴールに向かっていかないといけない。センターサークル付近で1、2本入ったときには前を向けたけど、PA近くで効果的なプレーができなかった」

 前半16分にはハーフウェーラインを越えた位置で前を向いてドリブルを仕掛け、右サイドに展開。FWハーフナー・マイクが抜け出し、ゴール前に折り返すチャンスをつくった。同22分にも香川の絶妙なスルーパスを受けたFW岡崎慎司が鋭い切り返しからクロスバー直撃のシュートを放つ。パサーとして決定機を演出した背番号10だったが、自らゴール前のスペースに進入してフィニッシュに持ち込むという最大の持ち味を発揮し切れなかった。

「相手のボランチのところのスペースは空いていたし、そこを活用できればよかった。前半から、もっと我慢して前にいる時間を増やしてもよかった。自分が得意としているプレーではなかった」

 後半のシュートはわずか1本。後半27分にDF長友佑都のカットからカウンターを仕掛け、細かくボールを回して最後は香川がPA内から左足で狙ったが、ゴール前で守備を固めるウズベキスタンの分厚い壁に跳ね返された。

「後半はバイタルでボールを受けようという意識でやっていたけど、うまく入っていけなかった。個人としてもチームとしても動きながらボールに触る回数を増やさないといけない。前の流動性、距離感をつかめなかった」

 ザックジャパンではMF本田圭佑(CSKAモスクワ)が君臨してきたトップ下のポジション。本田の負傷後はMF長谷部誠、MF柏木陽介、MF中村憲剛らが次々とテストされていった。香川を左サイドに置くことに固執してきたアルベルト・ザッケローニ監督は3次予選最大のライバルでもあるウズベキスタンを相手に迎え、ついに香川をトップ下に据えたが、納得いくパフォーマンスを見せることはできなかった。本田はすでにチームで復帰しており、6月に開幕するアジア最終予選では代表にも戻ってくるはずで、香川は再び左サイドにポジションを戻すことになりそうだ。

「前(FW)に入らないと、自分のスピードも上がらないし、前向きになれない。明らかにFWにボールが入ってなかった。それで攻撃のスピードも出なかった」。1トップで先発したハーフナー、途中出場したFW李忠成ともにいい形でボールを受けられず、攻撃の起点になることはできなかった。飛び出すタイミングを図ることができず、消化不良のまま90分間を終えた香川は悔しさを隠せなかった。

(取材・文 西山紘平)

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