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守備の課題は後半。五輪金メダルのカギがまた見えた

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[4.1 キリンチャレンジ杯 日本1-1アメリカ ユアスタ]

 被シュートは前半3本、後半5本。さほど多くのシュートを打たれたわけではないが、守備の安定性に関しては後半に課題が出た。

「アメリカは前半より後半の方が前からプレスに来たので、押し込まれてしまった。つなぐべきところでそれができず、失点につながってしまった」

 1点のリードを守り切れずに後半27分にミス絡みで失点し、1-1の引き分け。GK海堀あゆみ(INAC神戸)が唇を噛んで振り返ったように、なでしこジャパンは防戦となっている時間帯のリスクマネジメントに課題が残った。

とはいえ、前半の守備に関しては、ラインコントロールでもチャレンジ&カバーの面でも世界ランク1位のアメリカを相手に危なげない対応を見せていたのは事実だ。

 昨年9月に中国で行われたロンドン五輪最終予選以来、7か月ぶりの代表復帰となり、センターバックとして先発フル出場を果たしたDF矢野喬子(浦和レディース)は「課題は残るが、何もできなかったという印象はない。今後の自信につながる試合になった」と言葉に力を込めた。

 矢野は、身長180㎝の高さと身幅のあるFWワンバックへの対応、スピードスターのFWモーガンへの対応でいずれもまずまずの及第点プレー。

「ワンバックはやはり大きかった。結局ボールは一度も奪えなかったと思うけど、センターバックとして出た試合でワンバックとやったのは久々だったし、今後はこうやって対応しようという考えも生まれた。裏を狙われないように考えながらやりたい」と手応えを口にした。

 五輪の戦いはグループリーグ3試合のあと、8チームによる決勝トーナメントとなる。トーナメントの戦いではリーグ以上に守備の比重が大きくなっていく。

「守備は一人でできることではない。DFラインとボランチとしっかりコミュニケーションを取って、連係を深めていきたい」と海堀。矢野は「押し込まれたときのラインコントロールをどうするか」と言った。

 日本が先制すれば必ず相手はより攻撃的に来る。そのときにどうするべきか。それは解決できない問題ではなく、リスクマネジメントの意思統一をすることで影響を軽減できるはず。金メダルを見据えるなでしこジャパンが、明確な課題を見つけることで、また一歩前進した。

(取材・文 矢内由美子)

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