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田原の恩返し弾で横浜FCが湘南との神奈川ダービーを制す

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[8.5 J2第27節 横浜FC 1-0 湘南 ニッパ球]

 9位の横浜FC湘南ベルマーレをホームの三ツ沢球技場に迎えて行った神奈川ダービー。J1昇格を目指す両チームの戦いを制したのは、ホームの横浜FCだった。前半は湘南の固い守備にてこずったが、後半11分に新加入のMF寺田紳一を投入。ボールの保持力を上げてチャンスをつくり出した。後半26分にCKを獲得すると、昨季まで湘南に所属していたFW田原豊がヘディングを決めて、横浜FCが先制する。このゴールを守り抜き、横浜FCが1-0で勝利、勝ち点3を上乗せした。決勝点の田原は「まだ横浜FCは上に行けます。上に行ける以上は、常に上を目指して最後に良い結果を出せるように、これからも頑張っていきたいと思います」と語った。一方の湘南は10試合ぶりの黒星を喫している。

 横浜FCは前節の富山戦(0-0)から5選手を入れ替えた。DF中野洋司、MF八角剛史、MF高地系治、FW難波宏明、FW田原豊が先発で起用された。一方の湘南もGK阿部伸行、MF高山薫が出場停止。前節の北九州戦(1-0)からは5選手を入れ替え、GK松本拓也、DF山口貴弘、DF三原向平、FWキリノ、FW古橋達弥がスタメン出場を果たした。

 開始15秒、9試合負けなしのアウェー湘南が、いきなり決定機をつくる。右WB古林将太のクロスから古橋がヘディングシュートを放つが、ボールは右に外れる。横浜FCも5分には田原のポストプレーから八角が難波にパスをつなぎ、難波がPA内に入り込みシュートを打ったが、ゴール右に外れて行った。立ち上がりこそ湘南の高い位置からの強烈なプレスに戸惑っていた横浜FCだが、徐々にボールを回せるようになる。前半10分にも横浜FCは右のMF武岡優斗のクロスを難波がオーバーヘッドで狙ったが、シュートはミートできなかった。

 湘南も速攻から、チャンスをつくる。13分にはCKを獲得し、古橋のクロスからDF島村毅がヘッドでゴールを狙う。その3分後にも右サイドを古林がMF遠藤航とのワンツーで突破し、ゴール前にボールを放り込んだが精度を欠いた。

 その後は互いに攻めきることができない時間が続く。横浜FCは縦パスを入れるスペースを湘南に消された。一方の湘南も右サイドから何本かクロスを上げるが、中央で横浜FCのDF陣に跳ね返された。33分には古林が左サイドの三原に展開。三原がシュート性のボールをゴール前に入れたが、右へと外れて行った。その2分後にはMF遠藤航のスルーパスからFW馬場賢治が最終ラインを抜けてシュートを決めるが、馬場の位置がオフサイドで得点は認められなかった。前半は互いに慎重な戦いを見せ、0-0で終わる。

 後半の立ち上がりから、湘南は警告を受けていた三原を下げ、DF鎌田翔雅をピッチに送り出す。風上に立った横浜FCは、ロングボールを湘南の最終ラインの背後に入れる。後半11分には難波を下げて、G大阪より期限付き移籍で獲得したばかりのMF寺田紳一を起用した。その1分後には湘南も馬場を下げ、FW菊池大介をピッチに送り込んだ。

 横浜FCは寺田が中盤で細かいボール回しの中心となり、左サイドの武岡に展開。武岡がPA内でMF高地系治とのワンツーから縦に仕掛けたが、DFにブロックされる。こぼれ球を拾った高地が、ループシュートでゴールを狙ったが、クロスバーを越えて行った。その直後にも寺田が入れたFKを武岡が落とし、田原に絶好のシュート機会が訪れたが、空振りしてしまい、チャンスを逃してしまう。

 寺田を投入してから完全に流れをつかんだ横浜FCは、後半22分にFKを獲得すると、高地がゴールを狙う。シュートはわずかに右に外れた。同23分には左SBの中野を下げ、DF阿部巧を起用した。

 後半25分には決定機をつくり出す。右サイドからのクロスを田原が落としたところに、武岡がシュート。しかし、DFにブロックされる。その直後にも右サイドから野崎が仕掛け、折り返しを高地が左足で狙ったがGK松本がパンチングで弾き出した。これで得たCKから横浜FCが試合を動かす。高地のボールを田原がヘッドで叩き込み、横浜FCが先制した。

 先制を許した湘南は28分、キリノを下げてFW岩上祐三を投入する。横浜FCも30分に野崎を下げて、FW大久保哲哉をピッチに送り出す。後半33分にはFKを得た湘南が、岩上の強烈なシュートでゴールを狙うが、惜しくも右に外れて行った。その1分後には大久保のポストプレーから攻撃をビルドアップし直した横浜FCが、チャンスをつくる。阿部のロングボールから大久保が抜け出し、GKと1対1になるが、左サイドから左足で狙ったボールは、ゴール右へ大きく外れて行った。

 その後は湘南が押し込むが、決定機をつくれない。逆に横浜FCは速攻からPA内に走りこんだ高地がループシュートを放つなど、追加点を挙げるチャンスをつくった。ダメ押しゴールは決められなかった横浜FCは、試合終了間際に島村が最終ラインの背後を取り、GKと1対1のチャンスを得たが、シュートを決めることはできず。結局、横浜FCが田原のゴールを守り切り、1-0でダービーを制した。

(取材・文 河合拓)

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