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初出場初得点も、悔しさ滲ませた東京V・MF中島「今の時期は勝つことが大事」

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[9.14 J2第33節 東京V 1-1 福岡 味フィ西]

 切り札として東京ヴェルディの高橋真一郎監督が起用したのは、18歳のアタッカーだった。ボールを保持しながらも、アビスパ福岡の守備を崩し切れずに0-1で迎えた後半33分、高橋監督はMF飯尾一慶に代えて、MF中島翔哉を送り出した。「チビ(飯尾)も悪くなかったのですが、何か変化を付けたかった。コーチの頃から若手を指導していて、(中島の)力を分かっていましたし、彼ならシュートを打ってくれるだろうと思っていました」と高橋監督は、J初出場となった若手を起用した理由を説明する。

 その5分後だった。右サイドからMF西紀寛が上げたクロスをMF中後雅喜が左に流すと、ボールを受けた中島が左足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。川勝良一監督の辞任に伴い、コーチから監督に昇格したばかりの高橋監督は「結果を出してくれましたね」と、これまで指導してきた18歳の活躍に目を細めた。

「真さん(高橋監督)からも『シュートを決めて来い』と言われていましたし、あの場面ではシュートのイメージしかありませんでした」と振り返る現役高校生の中島は、プレミアリーグEASTで11得点を挙げて、得点ランキングの首位を走る高い決定力を見せつけた。

 しかし、「得点した瞬間は『オレ、やっちゃったよ』と思いましたね」と振り返る一方で、12分強の初出場を終えて、反省点が強く残ったと口にする。

「シュートを決めることはできましたが、いつも通りにやった結果だったので。特別な緊張も、強い気持ちもなく、本当にいつも通りの気持ちでプレーできました。でも、通用したこと以上に、ちょっとしたトラップミスとか、そういう足りないと感じたことの方が自分の中には残っています。もっとプレーの精度を上げないと、最初からは出られないなと感じました」

 チームに必要なのは、勝ち点1ではなく、勝ち点3だと分かっているからこその言葉だった。「先輩たちも『おめでとう』と言ってくれましたが、勝っていないんで。勝つことが今の時期は大事」と強調し「もっとゴールに向かえたし、精度を高めたいし、スピードも上げたい。それは練習でやっていくしかないし、試合を経験していくしかない。常に意識して取り組んでいきたい」と、初出場初ゴールの偉業達成にも、決意を新たにしていた。

(取材・文 河合拓)

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