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1得点1アシストの槙野、「ゴールの匂いはプンプンしていた」

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[9.15 J1第25節 横浜FM1-2浦和 日産ス]

 “DFW”の本領発揮だ。浦和レッズの日本代表DF槙野智章が1得点1アシストの活躍でチームを逆転勝利に導いた。「日産スタジアムでの対マリノスは相性がいいと思っていた。結果論だけど、ゴールの匂いはいつもよりプンプンしていた」。してやったりのゴールに笑みが広がった。

 広島時代の09年3月7日のJ1開幕戦。日産スタジアムで横浜FMを4-2で下した試合で先制点を決めたのが槙野だった。10年のアウェー戦は会場がニッパツ三ツ沢球技場で、11年はケルンに所属していたため、3シーズンぶりに乗り込んだ日産スタジアムで“有言実行”のゴールを叩き込んだ。

 開始5分に先制点を許しながら慌てることなく流れを引き戻した。前半23分、細かいパス回しからFW原口元気、MF柏木陽介とつないで左サイドの槙野にボールが渡る。ドリブルで駆け上がり、パス&ゴーでPA内のスペースに走り込む柏木にスルーパスを通した。

「ボールを持っていない選手がいかに危険な動きをするかが大事。(柏木)陽介が相手の嫌がるところに入っていってくれた。阿吽の呼吸で、いいコンビネーションでできた」。そう話す槙野に、柏木も「自分で出して中に行けるのはコンディションのいい証拠かなと思う」と胸を張った。

 後半19分の勝ち越しゴールは相手CKのカウンターからだった。GK加藤順大がボールをキャッチすると、スローイングで槙野にパス。中央をドリブルで運んだ槙野は一度はつぶされたが、DF中澤佑二がDF栗原勇蔵に戻したバックパスにMFマルシオ・リシャルデスが詰め、ボールを奪う。マルシオからスルーパスを受けた原口がPA内に切れ込み、右足でシュートを放つと、GKに弾かれたボールに詰めていたのが槙野だった。

 右足で無人のゴールに押し込んだ槙野に原口は「やばいと思ったらマキちゃん(槙野)がいて。決めてくれて助かりました。あの場面で決める、決めないがFWの価値を決める。そこは反省します」と感謝。槙野は「1点目も2点目も、自分たちが後ろからボールを保持して、つないでいった。(2点目の場面は)GKがキャッチしたところで蹴らずにつないだことが結果につながった。ペトロヴィッチ監督の目指すサッカーが凝縮されたゴールだった」と、チームで奪ったゴールと力説した。

 4戦負けなし(3勝1分)とした浦和は2位・仙台と勝ち点45で並び、首位・広島とも勝ち点2差だ。昨季は残留圏ぎりぎりの15位でJ1残留を決めたチームが、ペトロヴィッチ監督就任1年目で堂々と優勝争いを演じている。「広島との開幕戦で、同じようなサッカーの相手にけちょんけちょんにやられたのがよかったのかなと」。槙野がそう振り返るとおり、ペトロヴィッチ監督が昨季まで指揮した広島との開幕戦は0-1の敗戦。ペトロヴィッチ流が体に染み込んだ相手に一朝一夕でかなうはずはなかった。

 それでも「みんなで広島のサッカーを見て、“先輩”のサッカーを勉強させてもらった。毎試合勉強しながら、我慢しながら勝ち点を積み重ねてきた」と、ライバルである広島のサッカーを参考にしながら自分たちのサッカーを磨いていった。「今は自分たちのサッカーに自信を持って、楽しんでやれている。残り9試合も楽しんでやれれば」。11月17日の第32節ではホームに広島を迎える。「そのときまでいい順位でいければ」と槙野。シーズン終盤の古巣との大一番まで勝ち点を積み重ねていく。

(取材・文 西山紘平)

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