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湘南に加入のGK安藤「フロンターレサポーターに憎まれる活躍を」

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 揺るぎない自信が、思わず口を突いた。湘南ベルマーレは17日に新体制会見を行い、新加入選手は一人ひとり自己紹介を行った。川崎Fからレンタルで加入したロンドン五輪代表の一員でもあったGK安藤駿介は「僕の特徴は常に冷静でいられるメンタルの強さ。あとはキャッチした後のロングスロー。シュートを止めるなり。GKに必要な素質はすべて兼ね備えています」と、挨拶をした。あまりにも堂々としていたため、周囲から笑いが起きると、「自分でいうのもちょっと恥ずかしいですが、湘南の勝利のために、後ろで責任をもって体を張りたいと思いますので、よろしくお願いします」と、言葉を続けた。

 185センチの恵まれた体躯を誇り、昨夏のロンドン五輪を戦ったU-23日本代表にも選ばれた。しかし、川崎FではGK西部洋平に、U-23日本代表ではGK権田修一のバックアップに甘んじることが多かった。自身も出場機会を求めて移籍したことを認める。「成長しないと先はないと思うので。とにかく試合に出て、結果を求めて、シビアに、自分に厳しくやっていきたいと思います。一昨年、昨年と数試合しか出られなくて、それも自分でポジションを勝ち取ったというよりは、ケガ人が出ての出場でした。とにかくレギュラーを取る。試合に出続けることで成長につながると思うので、必死になってやっていきたいと思っています」。

 徳島から来た中河昌彦GKコーチは「安藤が『必要な素質はすべて兼ね備えている』と言ったので、自分の仕事は何かなと困っています」と、冗談を飛ばしたが、安藤自身は湘南での課題を見据えていた。湘南はラインが浅く、GKには守備範囲を広く保つことが求められる。これまでの安藤はゴールマウスを守っている印象が強かった。だが、湘南ではより広いエリアへの対応が不可欠となる。

「これまで僕が長く教わってきたGKコーチからは『前には出なくていい』『ゴールを守ればいい』という考えの方が多かった。そういう意味でも自分にとってチャレンジになりますね。今まで、前に出るようなタイプのGKではなかったので。そこも成長できるチャンスと捉えて前向きにやっていきたいです」と語る。守備範囲の広いGKといえば、同世代の権田だ。「ゴンちゃんは守備範囲が広いと思います。それをマネすることは基本的にしたくない。自分のスタイルで守れれば。それがチームのためになるのであれば、取り入れて行く。失敗もあると思いますが、良いプレーが出れば自信が付くと思うんです」。

 GKにとって、何より大切なのは『自信』だと安藤は強調する。「GKは技術より自信がモノを言うと僕は思っているので。アジア大会(2010年・中国)で優勝したとき、僕はプロで1試合も出ていませんでしたが、1試合目より2試合目、2試合目より3試合目っていう感じに、自分が活躍しなくても、試合に勝つことで自信が付いていきました。最終的に決勝が一番良いパフォーマンスができたなと思っています。過信ではなく、揺るぎない自信を持てれば、1.5倍、2倍の力が出せる。それを今シーズンは湘南で積み上げたいですね。2、3試合に出てからまたしばらく外れて、その後に1試合だけ出ても、積み上げた自信は消えてしまうので、出続けることです」

 冒頭のコメントからも分かるように安藤には自信がある。あとは、これまで得られなかった出場機会をつかみ『自信』を『揺るぎない自信』に変えて行くことだ。「これまで自分が試合に出られない立場でも、練習では常に『自分が一番だ』という思いでやっていました。とにかく前向きにやりたいです。フロンターレ戦も楽しみです。出た時には、フロンターレサポーターから憎まれるような活躍をしたいですね」。シーズン開幕を、そしてレンタル元の川崎Fとの対戦を、安藤は待ちわびている。

(取材・文 河合拓)

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