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ベンチ入り停止処分明けの東京V・三浦監督は前向きドロー

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[3.17 J2第3節 東京V1-1岡山 味スタ]

 練習試合における主審への行き過ぎた行為によってクラブから開幕2試合のベンチ入り禁止処分を受けていた東京ヴェルディ三浦泰年監督が、第3節で初めてベンチ入りし、指揮を執った。かつてプレーした古巣での“監督デビュー戦”。ただし、本人にとっての“監督初戦”はあくまで福岡との開幕戦(3月3日)だった。それだけにこの日も「ベンチに座ることができなくても、しっかり準備して(開幕戦の)福岡戦に臨みました。きょうの試合が私にとっての開幕ではありませんし、(きょうの指揮について)私個人的な感情はそれほど持っていません」と淡々と振り返っていた。

 ただし、チームは会心のスタートダッシュを遂げた訳ではない。3戦目でようやく奪った今季初ゴールによって同点に追いついたものの、試合終了間際にMF中後雅喜が放った決定的なヘディングシュートがわずかにゴールから外れるなど、逆転のチャンスを活かしきれずに引き分け。第3節を終えて2分1敗となった。特に前半は相手のハードワークの前に正確にボールを動かすことができず、また1トップのFW高原直泰が孤立してしまうなどいい形をつくることができなかった。「全体的にまだまだ構築するものが積み重なっていない。自分たちのリズムで、またテンポでやる時間帯も短い。私がでもあるし、選手が目指す戦術理解であったり、それに対する自信がまだ足りない分、ボールの動かし方であったり、スペースへのパスを出すタイミングであったり、最後のところが落ち着かないために点を獲る確率が生まれていかない」と分析した。

 それでも指揮官はチームが先制されながらも、最後まで諦めずに戦う姿勢を見せつづけたことを評価。勝ち切ることはできなかったが、一歩前進するドローだった。「まだ大きくステップアップできた訳ではないと思います。ただ続けて、しっかりした姿勢で90分間最後まで相手のゴールを奪おうとしていたし、自分のゴールを守ろうとしながら相手のゴールを目指すことができていたと思います。難しい試合で2節続けたことはひとつ積み上げられたことだと思います。これは特別なことではないが、当たり前のことをやらないと、目指しているところへは本当にいけるものではない。当たり前のことがいつも通りにできたことは、ひとつ評価としてできる段階かなと思っています」。

 Jリーグで初めて指揮を執った11年に前年わずか1勝だった北九州を10勝(16位)、2年目の12年には一気に19勝(9位)させた手腕を見せるのはこれから。この日、ほとんど立ちっぱなしでチームを鼓舞していた情熱的な指揮官は「(引き分けたが)過去はもう変えられない。あと未来を変えていく。そういう気持ちでまた次の準備をしたいと思います」。前だけを見つめて、08年シーズンを最後にJ2に沈んでいる名門を必ず復権させる。

(取材・文 吉田太郎)

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