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最後の“双子共演”も「感傷なかった」理由…千葉FW佐藤寿人「その結果が10年間J2」

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最後の双子共演となったMF佐藤勇人とFW佐藤寿人

[11.24 J2第42節 千葉0-1栃木 フクアリ]

 ジェフユナイテッド千葉MF佐藤勇人の現役生活ラストマッチ、双子の弟であるFW佐藤寿人は兄より14分遅れて後半37分に送り出され、最後の約10分間をピッチ上で共に過ごした。それでも『ツインズ共演』に「感傷的なものはなかった」といい、不甲斐なさばかりを感じていたという。

「もう負けていたので、勇人が最後の試合とか、勇人と一緒にピッチに立ったとか、そういうのは正直思っていなくて、とにかく追いつかなきゃという。試合終了のホイッスルが鳴った後も『負けてしまった…』という気持ちのほうが強かった」。

 投入された時点のスコアは0-1。兄・勇人が投入されて3分後の失点を返すことができず、そのままシーズン最終戦を黒星で終えた。最終順位は歴代最低の17位。「最終節こんなにたくさんの人が来てくれたにもかかわらず、J2に残りたいという気持ちのある相手チームを上回るものが出せなかったというのも含めて悔しい思い」と厳しい口調で語った。

 勇人のプレーについては唯一「セカンドボールを誰よりも走って拾って戦う姿を間近で見られたので、さすがと思った」と評したのみ。そもそも、勇人が現在も良いプレーができることは分かっている寿人。そんな兄が成績不振を受け、「自分なりのけじめ」として引退を決断するに至った現状に対し、フラストレーションを感じている。

「結果的に兄がそういう決断をした1年になってしまったので、もう少し上の順位にいたり、もう少し良い結果があればそういう決断には至らなかったかもしれない。そう考えると、この結果を非常に重く受け止めないといけない一年だったと思う」。

 そんな寿人も18年ぶりの帰還となった今季はわずか2得点。自身にも責任の矢印を向け、「悔いしかない。覚悟を持ってジェフに行ったし、厳しいことを言うと変わらなきゃいけないというか、自分一人が帰ることで良い結果を出せるとは到底思っていなかったけど、少なくとも上向きになるとは思っていたし、その力にもなれなかった。そこは悔しい」と向き合う。

 その上でもやはり「積み上げを考えたら開幕から最終戦まで来季につながる何かを積み上げられたかというと……」とチームの現状を捉え、クラブ全体がきちんとした土台を築いていく必要性があると説いた。

「家を建てる時には土台を作ってから上物を建てていかないといけないけど、揺るぎない土台を建てることができたかと考えると、まだまだ更地に近いチームだと思う。やっぱり一年を終えた時に土台が作れていて、そこで来季は上物を建てていこうとならないと、また一年また一年と繰り返しになる。その結果が10年間J2にいることになっている」。

「毎年選手は入れ替わるけど、クラブを愛する人たちは変わることはない。だから選手はその責任も持って戦っていかないといけない。選手がずっと居続けることは稀だと思うし、今は選手目線でキャリアを変えていく時代になっている。だからこそよりクラブが明確なものを示していかなければ、継続性を生み出していくことはできない」。

「兄はこれからも変わらず、ジェフを支えるというところで来季以降も力を発揮してくれると思う。ただ兄が下した決断をプラスに変えていかなきゃいけない。選手がまだ(プレーすることが)できる状況で退く決断をさせてしまったことを選手たちは受け止めて、また選手だけでなく特に現場にいる全ての人たちが受け止めて、変えていかないといけない」。

(取材・文 竹内達也)
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