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昨季J2昇格弾のFW坂本亘基、今季はJ1参入PO初戦で劇的同点ゴール!!「自分が活躍することで…」”熊本の未来”背負う23歳

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ロアッソ熊本FW坂本亘基

[10.30 J1参入プレーオフ1回戦 熊本 2-2 大分 えがおS]

 J2復帰1年目で悲願のJ1初昇格を狙うロアッソ熊本をプレーオフ2回戦に導いたのは、地元の誇りを背負った23歳のアタッカーだった。

 0-1で迎えた後半42分、熊本はこのままでは敗退が決まってしまう状況の中、GK佐藤優也のロングフィードをFW粟飯原尚平が頭でそらし、FW坂本亘基が絶妙なタイミングで抜け出した。焦ってクリアを試みた相手DFが空振りし、こぼれ球を奪い切ると、冷静にGKをかわして左足一閃。ゴールカバーのいないコースを見事に射抜いた。

「ディフェンダーがちょっとファンブルして、すごくいいところにこぼれてきた。キーパー見えていたし、最後にゴールカバーに入ったディフェンダーも左側に走るのが見えたので、腰を捻って打った」。ゴール前の落ち着きが光ったシュートは、順位アドバンテージで優位に立つ同点ゴールとなった。

 坂本はJ2昇格が決まった昨年12月5日のJ3最終節・岐阜戦でも先制ゴールを沈めており、またしても歴史に名を残す一撃を決めた形に。試合後には「持ってるなと思います」と謙遜気味に振り返ったが、熊本ユースで育った地元産アタッカーの活躍にはゴール裏サポーターもひときわ大きく沸き立った。

 さらに坂本は後半アディショナルタイム2分、カウンターの仕上げにゴール前で絡み、粟飯原の逆転ゴールもアシスト。「最初からあまり打つ気はなく、相手を食いつかせて…というのを意識していた」。またしても冷静さが際立った一発。ドローでも突破が決まる場面ではあったものの、坂本の「勝ちたかったので2点目を狙いに行っていた」という姿勢も活きたゴールだった。

 実際に最後は大分がパワープレーで追いついたため、この1ゴール1アシストいずれもが大事な結果となった。「1週間前のオフ明けのミーティングの時からずっと『勝つぞ、勝つぞ』と言ってたんで、そこはブレてなかったなと思う」。準備段階からイメージしていた攻撃への意識が、プレーオフ初戦突破という結果を見事にもたらした。

 そんな23歳の目標は、地元の子どもたちに「僕も坂本選手のようなプレーをしたい」と思ってもらうこと。熊本県出身でジュニアユース時代からロアッソの育成組織で過ごし、明治大を経てプロ入りした経歴を持つ坂本だが、地域への想いはひときわ大きい。

「自分がスタンドで見ていたときは、J2の下位で残留争いをしていたり、良くても7位とかそういった順位でいたので、自分が実際ピッチに立ってみて史上最高勝ち点と、史上最高順位に入れてることは誇りに思う。僕はやっぱり自分が活躍することでロアッソに入りたいとか、プロになりたいとか、そう思ってくれる人が一人でも多く生まれてくることで、熊本のサッカーの未来や発展につながっていくと思うので、そういったものを担っている意識も少なからずある」

 昨季のJ2昇格決定戦、そしてこのJ1参入プレーオフ1回戦で結果を出したことで、子どもたちの数は着実に増えているはずだ。しかし、坂本はここで立ち止まるつもりはない。「だからこそロアッソをしっかりJ1に上げて、見たことない景色を見に行きたい」。山形との2回戦、J1リーグ16位との決定戦と、まだまだ続く大一番。そこでも結果を出し続け、愛する地元クラブをさらに誇り高き存在に導いていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)
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