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仲間に支えられ掲げた優勝シャーレ…横浜FM宮市亮「本当にありがたかった」

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横浜F・マリノスFW宮市亮

[11.5 J1第34節 神戸 1-3 横浜FM ノエスタ]

 日本代表戦での負傷により長期離脱中の横浜F・マリノスFW宮市亮も、ノエビアスタジアム神戸で迎えた歓喜の瞬間に立ち会った。チーム全員の優勝セレモニーでは、シャーレのリフトアップも担当。「僕の想像以上に重かった」と振り返った宮市は「今季戦ってきた重み、優勝という重みを感じながら上げたシャーレだった。僕なんかが2番目に挙げさせてもらって、おこがましいし、申し訳ないぐらいだけど本当にありがたかった」と喜びを語った。

 宮市は今年7月、10年ぶりに復帰した日本代表の一員としてEAFF E-1選手権に出場したが、第3戦の韓国戦の試合中に負傷。右膝前十字靭帯断裂で全治8か月と診断されていた。キャリアにおいて前十字靭帯の怪我は左右合わせて4度目。選手生命を左右する大怪我とあり、直後には現役引退も覚悟したというが、いまでは復帰に向かってリハビリに励んでいる。

 両ウイングのポジションで攻撃を牽引してきた宮市の離脱はチームにとって大きな痛手だったが、その思いを背負ったチームはさらに結束を強めた。負傷直後の鹿島戦ではサポーターから「トリコロールの宮市亮 再びピッチで輝け 待ってるぞ」という横断幕が掲げられ、ウォーミングアップ時にはチーム全員が宮市のユニフォームに身を包んで登場。試合後にはキャプテンのMF喜田拓也が「必ず最後にシャーレを渡すと彼に誓いたい」と並ならぬ決意を語っていた。

 またホーム最終節となった前節の浦和戦後には、今度は宮市自身がマイクを握り、「この街にシャーレを、この街に頂点を」とチャントを熱唱。これにサポーターが声を重ねる形で、最終節でのタイトル奪還に向けて気運を高めていた。

 そうして迎えたこの日、宮市がスタンドから見守る中、チームは難敵のヴィッセル神戸を3-1で撃破。自力で優勝を決めた。試合後、報道陣の取材に応じた宮市は「個人的に7月に怪我をしてからピッチの上で貢献できなかったけど、そういった自分の思いをみんなが背負ってくれて、ピッチに出ている選手が表現してくれた。僕のためというのも多少はあると思うけど、本当にみんながチームのために、一人一人がチームのためにやってくれたことが本当に嬉しかったし、こうやって一緒に優勝できたことが本当に嬉しい」と喜びを語った。

 長期離脱中は復帰に向けたリハビリに取り組みながら、チームのために尽力してきた宮市。そうした振る舞いの陰には、自身がピッチに立っているときにチームメートが見せてきた姿勢があったという。

「自分より年上の選手、水沼選手、實藤選手、中林選手たちが、他の選手がゴールを決めたりとか、アシストしたり、いいプレーをしたとき、本当に自分のことのように、自分以上に喜んでる姿を見てきた。自分のためにというよりチームのためにという姿を目の当りにしてきていたし、それが下の世代にも浸透していると思う。そこが僕らのアドバンテージというか、先輩が引っ張っていってくれるこのチームの良さだと思う」

 そうした姿勢こそが、3年ぶりのタイトル奪還につながったと捉えている。「試合に出ていない選手が手を抜かない姿勢がマリノスには浸透していて、そういうものを背負って出てる選手がピッチ上で表現してくれるのがマリノスの良さ。まずは個を置いておいて、チームのためにみんながやること、そしてそれが結局個に戻ってくるという考え方がマリノスに浸透している。それが優勝できた一つの要因だったかなと思う」

 横浜FMでの活躍により日本代表復帰を果たした一方、またしてもキャリアを左右する大怪我にも苦しめられた2022年。それでも宮市は「涙腺が緩むことが多かったけど、いいシーズンだったなって思います」と言い切り、チーム全員で掴んだ優勝の余韻に浸った。

(取材・文 竹内達也)
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