26日、神奈川県横浜市青葉区にある桐蔭横浜大のキャンパスで、Jリーグクラブ内定選手の合同記者会見が行われた。来季より、ヴァンフォーレ甲府でキャリアをスタートさせるMF水野颯太(4年=常葉大橘高)も他の内定者12名とともに登壇。「今まで支えてくれた方々に結果で恩返ししていきたい」と決意を語った。

　静岡県出身の水野は、常葉大橘高、静岡県選抜でドリブルを武器に活躍。高校3年時には、Jリーグ2クラブの練習参加にこぎつけたが、「全然ダメだった」とそこでは挫折を経験したという。それでも夢であったJリーガーを目指して、2019年の4月に関東の強豪・桐蔭横浜大に進学。一学年約20人という少数精鋭のサッカー部の中で、武器を磨き続けた。

　水野がプロを意識し始めたのは大学3年生の頃。関東大学サッカーリーグで通用するようになったドリブルが、「頑張ればいける」という自信をつけさせた。同会見に出席した甲府の西川陽介強化部長も、「(春のキャンプで)クラブとして必要だった前線の左サイドのところで、積極的なアタックの姿勢と献身的な守備が凄くインパクトに残った」と評価。「ウイングバックにもトライしてもらったが、そこでも彼の良さが十分に発揮できていた」と獲得に至ったという。

　そんな水野のプロ1年目の目標は、900分(J2)の試合出場を必要とするA契約の締結だ。今年9月の全日本大学選抜、U-23日本代表の活動で味わったという世界と戦う楽しさを、来年9月のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)でも味わいたい。「それまでに試合に出れているようにする。1年目でのA契約は、活躍できている証でもある」と、クラブ内で争う“ACL出場権”の獲得に前のめり。ルーキーイヤーは、レギュラー格としての活躍を目指す。

　また水野は、「来年は地元の静岡県で試合をするチャンスが3回ある。その中でも、幼い頃に応援していたエスパルスとの試合は楽しみ」と対戦を心待ちに。「日本平スタジアムは、選手権の静岡県予選準々決勝で浜松開誠館に敗れた場所」。大学で磨きをかけた「スピードに乗ったドリブル」で、“富士山ダービー”の歴史に名を刻むつもりだ。

　終始爽やかな笑顔を見せていた水野は最後に、「甲府から世界に行きたいですね」ときっぱり。甲府出身で日本代表の“快足ドリブラー”FW伊東純也(スタッド・ランス)を意識したとも取れる発言で、白い歯をこぼした。

(取材・文　成田敏彬)

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