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“ルーキー”町田MF平河悠が開幕スタメンで切れ味アピール! 下剋上でのパリ五輪へ「常に狙っている」

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FC町田ゼルビアのMF平河悠

[2.19 J2第1節 町田 0-0 仙台 Gスタ]

 特別指定選手としてすでにJ2通算17試合2ゴールの実績を誇るFC町田ゼルビアのMF平河悠が、大卒“ルーキーイヤー”の開幕戦でたしかな爪痕を残した。負荷の多いサイドハーフで起用され、終盤まで落ちない運動量で決定機を連発。フィニッシュの制度を欠いたことで「自分たちがやらないといけないことは明確になった」と反省点も語ったが、大型補強でJ1昇格を狙うチームの中心として戦っていく気概を示した。

 青森山田高から異例の転身を遂げた黒田剛監督の下、悲願のJ1昇格に向けてスタートを切った町田。攻撃陣には大型補強のFWミッチェル・デューク、FWエリキ、MF高橋大悟とJ1経験者がズラリと並ぶが、右サイドハーフに抜擢されたのは山梨学院大から今季正式加入したばかりの平河だった。

 佐賀東高時代は「無名の選手」で、決して強豪ではない山梨学院大に進学。だが、懸命なアピールが実って一昨年に町田からのオファーを勝ち取り、同年12月の最終戦でJ2デビューを果たした下剋上のキャリアを持つ。昨季は東京都大学リーグで3季連続となる得点王の活躍を続けながら、J2リーグ16試合で2ゴールを記録。プロの舞台でも通用する資質を示すと、今季は開幕スタメンの座を勝ち取り、さらに高みへと登っていこうとしている。

 この日の前半は右サイドで積極的なドリブル突破を見せ、ゴール前の決定機では冷静なラストパスで高橋やエリキの惜しいシュートを演出。後半にも縦への突破力は勢いを失わず、最終盤には立て続けのシュートであわや1点という場面をつくった。そのパフォーマンスには黒田監督も「プレシーズンにJ1相手でも行けていたので、あそこは狙えるというのがあった」と高い期待をのぞかせていた。

 そうした手応えは平河にもあったようだ。「最低限の守備もやりつつで疲労もあって、ゴール前の精度が落ちたのはしょうがないけど、決め切る力をつけていきたい」と課題とも向き合ったが、「自分を分かってくれる選手が去年よりも多いし、スペースを空けてくれるので行ける形を作れている。スペースがある中で、1枚なら完全に剥がせるので、これからもそれを出せるように精度を上げていきたい」と力強く意気込みを述べた。

 平河は2001年1月3日生まれ。あと3日間早く産まれていれば年齢制限に引っかかっていたギリギリのパリ五輪世代だ。「まだ代表に入ったことがないので、どれくらい認知されているのか分からないけど……」と謙虚に話しながらも、「常に狙っているところ。J2で入っている選手もいたし、歳下がほとんどだけど入れるチャンスもある」と意識は隠さない。

 選考レースに食らいついていくためにも、まずはJリーグの舞台で自信の強みを発揮し、この日の課題として浮かび上がった決定力を高めていく構えだ。「今年は自分の特長を出せるようになってきたと感じている。裏への抜け出しもそうだし、対人の1対1もそうだし、ゴール前でのチャンスメイクを見ていただきたい」。世界の大舞台まであと1年半。チームにとっても、個人にとっても大事な1年が始まった。

(取材・文 竹内達也)
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