beacon

Jリーグのカスタマー戦略、今季は“興味関心の醸成”がテーマ「ターゲット層が枯渇しかねない」と危機感

このエントリーをはてなブックマークに追加

 Jリーグは20日、2023年度の「to Cマーケティング戦略」に関するメディアブリーフィングを開き、今季は「Jリーグへの興味・関心度の向上」に取り組んでいく方針を示した。昨季はコロナ禍明けに伴う集客数の回復を目指し、スタジアムから足が遠のいた人々の復帰やスタジアム未体験者の獲得に重点を置いていたが、さらに関心を呼び起こしていく必要性が浮き彫りとなったという。

 Jリーグは昨季、コロナ禍からの観客数を回復すべく、テレビCMを活用した大規模招待施策を実施。昨年6月の調査では21年8月に比較し、スタジアムから離れていた離反層、スタジアム観戦の習慣がなかった未体験層のうち、市場規模換算で約133万人相当がスタジアム観戦層に転換した。さらにチケット購入などに使用するJリーグIDの新規獲得者は約16万6千人に達し、そのうち約4万7千ユーザー(約7万2千人相当)がスタジアムに初来場。初来場者のリピート率も20%を超えるなど、一定の成果が出たという。

 一方、Jリーグへの高関心層の割合は21年8月から昨年6月にかけて17.4%から15.5%に1.9ポイント低下。閉幕時期の昨年11月には16.9%に一時持ち直したものの、おおむね低下〜横ばい傾向となっており、「このままターゲットのユーザー転換のみを推進し、関心度が下がり続ければ、ターゲット層が枯渇しかねない」という結論に至った。

 そこでJリーグは今季、JリーグIDの新規登録や新規来場者の確保に引き続き取り組みつつ、Jリーグへの興味関心への醸成にフォーカスする方針。テレビ応援番組などを通じたローカル露出、デジタルメディアを活用した首都圏・関西圏の露出を強化し、そこに30周年プロジェクトも活用していくという。また今季からJリーグ職員に各担当クラブを割り当て、集客、SNS活用、調査・分析、チケッティング、学習プログラム、システム開発などで支援ができる体制を整えている。

 またJリーグは今季現時点での入場者数と、コロナ禍前の19年同時期との比較データも公表。J1・J2・J3全体では入場者数が86%、収容率が97%となった。この背景には雨天試合が17%から25%に増えた影響もあるようだ。またJ1は入場者数81%・収容率91%、J2は入場者数95%・収容率91%、J3は入場者数131%・収容率173%と判明。J1は浦和の駒場開催とC大阪のヨドコウ開催、J3はJ2平均を上回る松本の集客数が大きく影響したという。

(取材・文 竹内達也)
★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2023シーズンJリーグ特集ページ

TOP