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横浜FM井上健太、課題のクロスで宮市2発をアシスト「自信につながった」

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横浜F・マリノスMF井上健太

[7.19 国際親善試合 横浜FM 6-4 セルティック 日産ス]

 J1リーグ戦での出場機会が激減し、厳しい夏場を過ごしていた横浜F・マリノスMF井上健太が、セルティックとの国際親善試合で浮上の兆しを掴んだ。

 4月下旬以降、J1リーグ戦でわずか1試合の出場にとどまっていた井上はこの日、ハーフタイム明けから右ウイングで途中出場。ところが開始3分に上げたクロスをFW植中朝日が合わせ損ねると、その後はクロスの精度にも課題が露呈し、なかなか得点に至らないまま時間が過ぎていた。

 それでも4-3で迎えた後半40分、ようやく見せ場を作った。FW杉本健勇からのパスを受けて右サイドを攻め上がった井上は、ファーサイドへのハイクロスを送ると、これにFW宮市亮が反応。「後半1本目にクロスを上げた時に、前の選手につられて後ろが空くのがわかっていたし、亮くんはヘディングが得意なので」(井上)。狙いどおりに宮市が空中戦に競り勝ち、高い打点からヘディングシュートを突き刺した。

 井上はJ1リーグ戦でベンチ入りできない時期、右膝前十字靭帯断裂からのリハビリ明けでトレーニングに取り組む宮市と共にトレーニングを行ってきたという関係性。試合後、宮市は「ああいう形は意外に得意で、ジャンプは高く飛べるほうだと思う。日本に帰ってきて出すシーンがなかったけど井上選手からいいボールが来た」と井上のクロスを称えた。

 また後半43分にはまさにメンバー外のトレーニングで行っていた形から再びホットラインが通じた。同じく井上が右サイドを攻め上がると、今度は宮市があえて遅れ気味にゴール前へと入り込み、マイナス方向のクロスの反応。宮市は「メンバー外の練習からあのシーンが何回も出ていたので『来たな』という感じだった」と興奮気味に明かした。

 そうした見事なクロスを立て続けに通した井上だったが、クロスの精度は今季横浜FMに加入して以降、課題として抱え続けてきた部分だ。

「監督からすごく質の部分で求められていたし、他のスタッフからも最後のところで『ああっ……』ってため息を練習から言われていたので、ここでできるんだということを見せられて良かった」。そう周囲からの要求を明かした井上はこの日の活躍には「自信につながった。これからは自分自身も力みなくできるんじゃないかと思う」と手応えも口にした。

 またスコットランド王者との対峙にあたって、クロス以外にも手応えを得ていたようだ。「J1のチームのほうが自分はやりづらいくらい。飛び込まないでスピードを消してくる選手がJ1は多いけど、こっちは身体勝負をしてくるのでやりやすかった」。一瞬の爆発的スピードでは欧州の強豪に通用するところを示した。

 もっとも、すでに目線はこの先を向いている。横浜FMは23日、Jリーグワールドチャレンジでマンチェスター・シティと対戦。欧州王者を相手に持ち味を発揮できれば、もう一段階上のアピールになるはずだ。

「チームとして積み重ねている部分を表現したいし、相手が強いからと言って変えることはしない。真っ向勝負をして見えるものがあると思うので、必ず吸収して、中断後のリーグに絡めるようにしていきたい」。そうチームの狙いを語った井上は「自分が試合に絡んでいくためにはそこでアピールしていくしかない。親善試合だけど自分としては勝負しないといけないし、しっかりアピールできるようにいい準備をしたい」と闘志を燃やしていた。

(取材・文 竹内達也)
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